FNN https://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00363717.html
小池氏側近「都ファ」年内にも国政進出
東京都の小池知事に近い、若狭 勝衆議院議員は、9日朝のフジテレビ「新報道2001」に出演し、東京都議会議員選挙で小池知事が率いて大躍進した地域政党「都民ファースト」が、年内にも国政に進出するとの見方を示した。
若狭衆院議員は「少なくとも年内に、国政新党への動きが出てくるというのは、十分にあり得る」と述べた。
若狭氏は、「小池知事が先頭に立つことはない」としつつも、都民ファーストが、年内にも国政新党をつくるとの見方を示した。
そのうえで、「安倍総理と小池知事は、憲法改正が必要だという点で共通している」と述べ、新党が憲法改正で、安倍政権と連携する可能性に言及した。
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http://article9.jp/wordpress/?p=8816より転載
澤藤統一郎の憲法日記
心しよう。小池百合子は日本国憲法に敵意をもった、危険な改憲論者である。
七夕である。盧溝橋事件から80周年でもある。風流にひたる時間も、歴史をかえりみる余裕もない。都議選勝ちすぎの、小池百合子と都民ファーストの会批判を続けねばならない。
小池百合子が思想的に右翼であり、改憲論者であって、核武装論者でもあることはよく知られている。だが、「よく知られている」だけでは、小池百合子や都民ファーストの会に迂闊な一票を投じた人々を説得できない。小池百合子が、憲法に敵意をもった、危険な改憲論者であることを、過去の資料で確認しておきたい。
まず、確実な資料として彼女の公式ウェブサイトに掲載したツイートがある。古いものは消されたが、奇特な方が保存して発信を続けている。
その中で、最も有名になったのが自民党広報本部長を務めていた当時、2011年8月26日における下記ツイート。
「本日、サンフランシスコ講和条約発効日である4月28日を主権回復記念日として祝日とする議員立法を総務会で承認し、衆議院に提出いたしました。祝日が多すぎるというなら、借り物の憲法記念日5月3日を祝日から外します。」
主権回復記念日の評価は措く。「借り物の憲法記念日5月3日」という一文に、彼女の「押しつけ憲法観」が見えている。そして、「憲法記念日5月3日を祝日から外します」という言わずもがなの挑戦的な物言いに、日本国憲法への尋常ならざる彼女の敵意を見ることができる。
その少し前には、2010年3月11日付の、こんなツイートもある。
「『朝鮮学校の無償化、首相「法案成立後に判断」』(朝日) それはないでしょ!! 絶対反対! 反日教育を進めている北教組の傘下にある北海道の高校も同類。」
当時の首相は、民主党の鳩山由紀夫。このものの言い方。小池百合子とは、ネトウヨ並みの存在なのだ。
さらにもう少し前には、こんなものもある。
「中共の『日本解放工作要綱』にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段。カタルシスを発散させながら、日本沈没を加速させる…。」
2009年11月26日、民主党政権の目玉政策だった事業仕分けに噛みついた発言。それにしても「中共」とは懐かしい言葉。「中共の日本解放工作要綱」の陰謀が民主党の事業仕分けとなって日本弱体化を進行させているという、これも小池の信条や心情がよく出た発言。
小池百合子は、衆院憲法調査会(現・憲法審査会の前身)の委員だった。
2000年11月30日「二十一世紀の日本のあるべき姿」と題する調査会審議に石原慎太郎(当時都知事)が参考人として出席し、現行憲法無効・自主憲法制定の持論を展開した。憲法論としても政治論としても、トンデモ説というほかはない。当時、「保守党」に所属していた小池は、この審議で石原トンデモ説に賛同しているのだ。議事録から抜粋してみる。
小池百合子「石原都知事、本日はありがとうございます。いろいろと御示唆いただきました。結論から申し上げれば、一たん現行の憲法を停止する、廃止する、その上で新しいものをつくっていく、…どの部分をてにをはを変えるというような議論では、本来もう間に合わないのではないかというふうに思っておりますので、基本的に賛同するところでございます。」
「きょうはいろいろと、憲法調査会でございますから憲法問題に関連してお話しいただいているわけですが、私は、むしろアメリカの戦略とすれば、日本にこの憲法を変えさせないのが最大の戦略になってくるんじゃないか。つまり、いろいろな点でがんじがらめにしておいて、そしてそのたびに出おくれるような形にして、最後は小切手外交をさせようというのが、これは一番アメリカにとっていい方法で、なおかつ思いやり予算というような形で置いて、ありがたくそこに海兵隊の人たちが住んでいるというような状況。ですから、アメリカの側から見れば、それが戦略なのかなと思ったりもするわけでございます。」
「もう時間がございませんので、これで終わらせていただきますけれども、この現行憲法、これが戦後に果たした役割にいろいろな面で感謝もしつつ、ただ、二十一世紀を見詰める上で、今後の日本がどうあるべきかということを踏まえた、ある意味では帰納法的な憲法の創憲ということを目指すべきではないかという私の意見を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。」
小池も基本的に現行憲法無効論に立って、憲法改正ではなく、新憲法を「創憲」すべきと論じているのだ。「ある意味では帰納法的な憲法の創憲ということを目指すべきではないか」とは、何を言っているのか自分でも分かってはいない発言だが、現行憲法尊重の姿勢に欠け、これを否定したという心情だけは伝わってくる。
もっとも、小池の改憲論は一貫していない。
2011年時点での右翼誌「ワック」における渡部昇一との対談では、こんな風である。
「九条を前面に出すとこの国はすぐ思考停止に陥り、右だ左だと言い合うばかりで何も進まないという事態が何十年も続いてきました。塩野七生さんもおっしゃっているのですが、まずは誰が聞いても『いい』と言えるような憲法から改正して、『憲法は改正できるものだ』という意識を共有するところからはじめたほうが、結果的には早く憲法を改正できるのではないかと思うんです」(『渡部昇一、「女子会」に挑む!』ワック、2011年)
次いで2012年7月9日、自民党に移っていた小池渡り鳥は衆院予算委員会で、民主党野田佳彦首相(当時)にこうたたみかけている。
○小池委員 私は、社会保障と税の一体改革、……ある意味で、この法案そのものは自民党案の丸のみということを表現される方もおられます。私は、むしろ安全保障の案を丸のみしてほしい。ましてや、憲法改正草案もちゃんと準備いたしておりますので、いっそのこと丸のみするということも、我が国が有しているエネルギーそして時間ということを考えたら、いっそのこと早いんじゃないですか。どうですか、総理。
自民党の「日本国憲法改正草案」は、2012年4月27日に公表されている。もちろん、9条2項を削除して国防軍を創設するという右派の最大限要求案。これを「丸のみ」せよと言っているのだ。
また小池は、2015年2月19日の衆院予算委員会で、安倍晋三に対する質問の中で、こう言っている。
○小池委員 次に、憲法の方でございますが、これについてもまたこれから議論をしっかりと続けていかなければなりませんので、中身の部分はその方に任せまして、大体のロードマップをどういうふうに描いておられるのか、総理に伺わせていただきたいと思います。
せんだって、船田憲法改正推進本部長との面会の中でも、来年夏の参院選後が常識だろうというふうにおっしゃったと伺っております。これからのタイムスケジュールと、それから、憲法というのは前文から百三条まであるわけでございますけれども、その中から抽出して何かのグルーピングをするのか。例えば、緊急事態に関して、八十三条、財政に関してといったような形を想定しておられるのか、総理の今のイメージをお聞かせいただきたいと思います。
○小池委員 私は以前から、八十三条、財政の条項からまずやってみたらどうかと。一度も憲法改正に国民は投票したことも。ようやく整ったわけですから。ですから、いきなり全部のメニューを最初からというよりも、ひとつそのような形で進める、九十六条よりも私は八十三条から始めるべきではないだろうか、このように思っております。
憲法83条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定める。自民党改憲草案はこれに第2項として「財政の健全性は、法律の定めるところにより、確保されなければならない。」と加える。それだけのもの。小池は、「お試し改憲」「慣れさせ改憲」のテーマとして適当ではないかと提案しているわけだ。
小池百合子の本性は、およそ憲法理念とは敵対的なものというほかはない。彼女が「都民ファースト」と言い、「国民ファースト」と言っても無内容。憲法嫌いの積極的な真正改憲派であり民族差別主義者なのだ。しかし、彼女は政界渡り鳥。嗅覚鋭く、機を見風を読む能力には長けた老獪な政治家でもある。その行動原理は、自分の信念にもとづいてのものであるよりは、自分の権力拡大のために有利か不利かの判断に基づく。
彼女は改憲論者としては一貫しているが、具体的な憲法改憲手順については、明らかに変遷している。憲法改正を言い出すことが自分に有利と思えば積極的に安倍政権(ないしはその亜流)と手を組むだろう。状勢を読んで、憲法改正を言い出すことが自らに不利と思えば何食わぬ顔で、憲法に基づく行政を行うだろう。
多くの人々に小池百合子の本性を知らせる努力を怠ってはならない。眉に唾を付けて、しっかりと都政の行方に目を光らせなければならない。盧溝橋の過ちを繰り返さないためにも。
(2017年7月7日)