https://www.buzzfeed.com/daisukefuruta/minami-sanriku-coming-of-age?utm_term=.paYmmkAbV#.ri3ooW2G5より転載
全く荒れない被災地の成人式 南三陸町の若者は「今度は自分たちが支えになる」と誓う
今年も日本各地で「荒れる成人式」が話題だ。でも、それとは全く違う光景がここにある。東日本大震災の被災地・南三陸町。
posted on 2017/01/09 11:41全く荒れない成人式がある。1月8日、宮城県南三陸町。2011年3月の東日本大震災で、最も被害が大きかった町の一つでこの日、184人が成人を迎えた。
スーツや振袖姿に身を包んだ参加者たちが被災したのは、中学2年生の時だ。激しい揺れと、町の中心部を飲み込んだ津波で、死者・行方不明者832人、建物の約6割が全壊した。
同級生たちの中には、震災後に家族とともに南三陸を離れた人もいる。しかし、この日は「苦しかった時を一緒に過ごした友達と一緒に成人式を迎えたい」と遠方から参加する人もいた。
町役場の職員たちによると、震災が起こる前は、荒れる成人式とまではいかなくても、私語でざわついたり、久しぶりに会う友人同士ではしゃいだりする姿があったという。
佐藤仁町長はBuzzFeed Newsにこう語る。
「やっぱり震災があってからですよ。成人式の雰囲気が変わったのは。みんな、『バカなことはやってられねぇ』って思うようになったんでしょうね」
新成人の代表挨拶、誓いの言葉。参加者たちは静かに、じっと壇上を見つめる。
新成人を代表して挨拶した町職員の浅野祐介さんは、誓いの言葉をこう述べた。ほぼ全文を掲載する。
式典後にBuzzFeed Newsは浅野さんに話を聞いた。どういう思いをこの誓いの言葉に込めたのか。
「3つあります。一つはこの場にいる人の中でも、立場はそれぞれ違うということ。被災をした人も、していない人もいます。でも、みんなで南三陸を作り上げていきたいということ」
「もう一つは、この場にいない人たちの中にも、いまの南三陸を作り上げてくれた人たちがいるということ。感謝の気持ちを込めました」
「そして最後に、いまも全国に災害で苦しんでいる人がいるし、これからもいるでしょう。今度は南三陸の私たちが力になりたい。支えになりたい」
南三陸の街の中心部。津波にのまれた防災庁舎の前の献花台には、この日も花が手向けられていた。かつて家屋が並んでいた周囲は、津波対策でかさ上げするための土砂がうず高く積まれ、見る影もない。
6年が経っても、復興は道半ば。しかし、新成人たちの目は未来を見据える。