就職にしても、就学にしても、自己PRの時代になった。
自分の特質、自分の才能の素晴らしさ、自分の充実した能力などを、遠慮なくPRする。
自分に自信を持って生きる。
自分を過大に評価する事に依って、それにまがう様に努力する。結構な事だ。
ただ、ここで考えてみなくてはいけない事がある。
人間というモノは、自分を高く評価すればするほど、だんだん他の人に対して無礼をなしたり、軽視したり、時に憎んだりするようになる。
「俺に対して、その口のきき方はないだろう」とか「俺の言った事に逆らう気かッ」とか。
人間は聡明で自信を持つほど、相手の弱点をつき、人の心を傷付ける。
孔子は「我は賈(こ)を待つ者なり」という。
「私は自分から売り込まないで、買い手が来るまで待つよ」と…。
人間はPRして売り込むよりは、ちょっと遠慮して謙虚である方がいい、という。
そうすれば、たとえ過大に誉められた時でも、いい気になって傲慢になり、背伸びをし過ぎて、倒れる事もないし、逆にけなされた時でも、劣等感にさいなまれて、暴挙、暴走をする事もない…と。
人から認められたい、世間から高い評価を受けたい、充実した人生を送りたい。一度限りの人生だ。
そう思うなら、目標を作って能動的に活動するがいい。
ただ、その時に自分の才能や体力を自覚する事だ。
自分の力を知らず、無理し続けて、不幸にも目的を達成できないと「ああ俺は負け組」と思い、劣等感のルツボに自分を追い込んで、ヘトヘトになって悩み、苦しむ事になる。
控え目であれば、苦悩はない。