妻のやさしさが恐い

　今日の妻はいつにもましてご機嫌である。
「天気もよかけん、あんたの厚物の服は洗濯しておくね。よかやろ」
「うん、お願いね」「分かった。ホントはあんたの心も洗ってあげたか
ばってん」・・・冗談口も舌好調？だ。

「ねぇ、ねぇ、お腹すいとらんね。わたし、早めに食べるけんね」と
食卓に料理を並べている。
「あんたビール飲むね。今日は祝日だけん、昼間でも飲んでよかたい」
〈酒を飲むのに祝日云々はないだろう！〉とツッコミたくなったが、
妻の好意を素直に受け入れる。

「あんた、夜中によく目が覚めると言っとるけど大丈夫ね。心配ごとは
なかとよね？」さらに、「あんたの苦労なら、わたしが拾ってあげるけん、
何でも言ってよかよ」
胸にじーんとくるような言葉をかけてきた。妻のやさしさが恐い。