2017.05.28金生山(筆者撮影)
ただの砂利採取場のように見えるこの山が岐阜県大垣市にある「日本の古生物学発祥の地※1」金生山(カナブヤマ※2)です。現在では山頂が定かではないほど削り取られているこの山で産出したフズリナ化石を明治7年(1874年)にギュンベル氏(独)が紹介しておられ、これが学術的に記載された日本産化石の初出だそうです。ここから日本の古生物学が始まったと思うとワクワクします。
この山は全体が古生代ペルム紀の化石の塊で、フズリナやサンゴの化石がごろごろ産出します。シカマイヤやウミユリの化石も常識外れに大きく、巨大化の理由がもっと知りたくなります。山の中腹にある大垣市金生山化石館に行けば担当者さんのお時間があるときには詳しい解説をしていただけます。
あ。注意事項です。基本的に山での化石採掘はできません。金生山は海外でも有名なペルム紀化石の産地であると同時に日本有数の石灰鉱山でもあり、江戸時代から現在にいたるまで採掘が行われているため、当然ながら一般人は鉱山内立ち入り禁止です。明星輪寺という虚空蔵菩薩をご本尊とするお寺も山の中にありますが、これまた当然採掘も採取も禁止です。石灰を掘り尽くして山がなくなる前にこの目で見てみたい!調査したい!という方は金生山化石研究会に加入されると、年1-数回の巡検に参加できます。また、岐阜県博物館主催の地学講座西濃編に参加されると運が良ければ砕石屑から化石探しができたりします。興味を持たれた方は一度お問い合わせください。
岐阜県博物館公式HP
大垣市金生山化石館公式HP
※1 諸説あります。例えば東京帝国大学は明治10年に地質学教室が開設され、
ナウマン教授(ギュンベル氏の弟子)による 指導が始まっているので
「学問発祥の地」である、とか。
※2 通称は「キンショウザン」。
参考:「化石館だよりNo.69」Jan.2017大垣市金生山化石館発行
「金生山化石調査報告書」Mar.2015大垣市教育委員会発行