さて、次なる目的地養老の滝は言わずと知れた養老孝子の故事※1を持つ、落差約32m、幅約4mの滝です。六国史の一つ続日本紀にも記され※2、十訓抄や古今著問集、能の題材にも取り上げられているという、なかなか「古文の世界で有名な土地」なのです。くらげびとは地学的な説明は不得手なので、講座でいただいた資料を丸写しさせていただきます。
「隆起していった養老山地はその東側に急斜面を形成し、そこを深く下刻した谷の途中に大小の滝を形成しており、その一つが養老の滝である。ただし養老断層は、深く下刻した谷が大量の土砂を濃尾平野に向けて流出させて形成した扇状地に覆い隠されるような位置に走っており、山地内部へかなり入った地点にあるこの滝の形成には直接関与していない。」
・・・つまり、養老の滝は養老山地にある滝の一つであるけれど、養老断層によってできたものではないよ、ということですね。時間が押していて養老の滝まで行けなかったので、またゆっくり来ようと思います。ちなみに今年2017年は養老改元(西暦717年)から1300年経つそうで、町をあげて養老改元1300年祭なるものを催しているそうです。いつまでリンクが可能かわかりませんが、このページの下の方に公式サイトへのリンク貼っておきます。興味を持たれた方はぜひぜひ今年のうちに訪れてみてください!
※1 真面目に働く清貧な男に感応した天地が滝(もしくは泉)の水を酒に変え、男は酒好きな父に孝養を尽くすことができた。その話が時の天皇(元正天皇)にも伝わり、養老と改元された。という伝説。十訓抄や古今著聞集にも記されている。
※2 元正天皇の美濃国への行幸の際、美泉を訪って効能を得たことが詔として記されている。また、他にも数箇所記載がある。ただし続日本紀に記載されているのは美泉であって、滝ではない。
参考:学芸員と歩くふるさとの大地「西濃編」配布資料 MayJuly,2017岐阜県博物館
養老改元1300年祭公式サイト(公式サイト閉鎖につきリンク終了)
「続日本紀1」10,June,1986初版 平凡社発行(東洋文庫457)、訳注者 直木孝次郎 他