こんなきれいな夕陽を見ると
ひとりで見てるの
もったいなくなる
この心のすき間を
何が埋めれば
すき間と感じなくなるのだろう
空しい疑問符に搦めとれたま
ま、ベットにどさっと倒れ込
む。
失望がぐるぐると、全身
を駆け巡っている。
両手で
抱え込んだ枕に顔を押し付け
て、悲しくて泣いている女の
子のふりをしてみる。
まるで、水槽から外に飛び出し
てしまった金魚のよに、なす
術もなく、足掻いている心を
持てあましながら。
ああ、泣きたい、と思う。
ねえ、どうして。
どうして、LINEをくれない
の?
あなたは今、どこで、何をし
ているの?
必ずLINEを送るって、あの
約束を忘れたの?
それとも、もうわたしのこと、
忘れてしまったの?
https://www.youtube.com/watch?v=gaxhyQWzib0
てんやもの。店屋物と書くが、近ごろ
あまり耳にしなくなった。
昔は、「てんやものでもとるか」と
大人が言うと、子供は電話機のそば
に置いてある「お品書き」をいくつ
か持ってきたものである。
てんやものの決定権は常に大人で、
サザエさん一家の世界がそこにはあった。
場所柄、出前に重点を置かなくてはな
らないソバ屋の「お品書き」には、
心暖まる。親子丼、天丼、かつ丼、鍋
焼き、刺身定食、カレーライス等など、
爺婆から孫まで、てんでに好きなもの
をとって、家で卓を囲める。
ソバ屋が届ける家庭の憩もある。
出前ならではの味わいに、ソバ屋の
天丼がある。天ぷら屋のそれより、つゆ
なじみの良い厚手の衣で、配達時間の
うちに、しんなりふんわりふくらんで、
下のご飯に風味をにじませる。
ほろほろくずれる衣、つゆのしみたご飯、
大人のデカダンス。
「天丼はソバ屋の出前にかぎる」という
御仁は少なくない。