黒岩重吾著「聖徳太子」の中で、
「犬でも臆病な犬ほどよく吠
える、また臆病な人間ほど自
分を強者に見せたがる、自分
にない力を出そうとする、
そういうことをすれば周りが
見えなくなる、だから、臆
病者は愚者と同じなのです。
愚者が失敗するのは大きな
流れに逆らうからだ。大きな
流れだと思ったら、流に従う
べきです。
ゆっくり流されておれば周り
がよく見える、逆らうと息
が苦しくなり目がかすみ、何
も見えなくなる。結局溺れて
死ぬ、単純な理屈ですぞ」
「大臣(おおおみ)の言われる
ことはよくわかる。だがたい
ていの人間は、それがわかって
いても流されていることに
耐えられなくなる。耐えられる
人は凡人ではない」
「皇子、それは凡人というより
愚者なのだ」
中途半端な人物や知識人ほど、
自分をよく見せよう、見られ
ようとして鼻もちならない人
間になりやすものです。
本当にできた人物は、人と
争うようなことはしないし
謙虚そのものです。いつまでも
謙虚であり続けたいものです。