にゃんこの置き文

行く川の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず

65にして惑いっぱなし

2023年11月09日 | 小説
人の欲ってキリがないものだなと、つくづく思う。

投稿を始めた頃は、「1次だけでも通ってくれたら」と思っていた。
3作目の投稿から2次まで通るようになり、そうなると今度は、「最終候補に残って批評をもらいたい」と思うようになった。
最終候補に残るようになったらなったで、「悪魔に魂を売ってもいいから受賞したい。受賞さえできたらそれで満足」と願い始めた。
めでたく願いがかない、そこで満足だった筈だ。
それなのに、「一冊でいいから本を出したい」と、欲求はさらに続いた。
書いている最中は、「この作品に今の自分の力のすべてを注ぐ。無事に書き上げることができたら、この一冊だけで終わってもいい」と思っていた。

そして刊行。
今度こそ満足すると思っていたんだよ。
なのに今、「かなうものならもう一冊出したいなぁ」などと思っているのだ。
おーい、受賞して一冊出せたら満足するんじゃなかったのかーい?
どこかから声がするが、私自身は聞いてない。
頭の中は何を書こうかということでいっぱいになってる。

だけど「書きたい」という思いが膨らむほど、「書けなかったら」という不安も大きくなるんだよね。
そればかりを考えてると思考の幅が狭くなって、まわりへの配慮を忘れたり、変な方向に自分を追い詰めてしまったりする。
ここのところ後悔したり反省することが多いんだけど、無意識のうちに焦ってるんだろうなぁ。
一歩一歩階段を上がってきて、満足という名の最上階に達したと思ったら、単なる踊り場だったという感じ。
もう一作書けたら、今度こそ満足するんだろうか。
それともこの階段には終わりがないんだろうか。

立ち止まることはしたくないけど、この歳になって階段を上り続けるのは、ちょっと膝が辛かったりして。


ここでまた、「x」で嬉しいコメントをみつけた。

有隣堂淵野辺店
「『もゆる椿』入荷しております。鬼と呼ばれた少女と剣だけが取り柄の青年が織りなす仇討ち道中物語。少女と青年のでこぼこコンビの和やかな道中と迫力のある勝負シーン。デビュー作とは思えない作品です。レジ前エンド台にございます」



置いてない本屋さんのほうが多いのに、レジ前に並べてくださるとは。
三千里をさまよった後、地獄で仏に出会ったみたい




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