風そよぐ
初夏の頃
爆破した
心の片隅が
それと同時に
空腹もおきなかった
寝転がる
芝生の上
蝶が舞う
蜜の雰囲気を嗅ぐ
曖昧模糊の世の中で
風うたう
六月
君がいる
君がいる
僕はとても泣きたくなった
とてもとても泣きたくなった
カラッポの響く脳が
みじんこに乾いて
波紋のように広がった
涙の連鎖
鎖は手を縛り
脚を重たくさせ
首を締め上げる
腕に傷
こんな傷痕では
泣く要因になりはしない
涙のでない乾いた悲しさ
こんなつらい痛みは
時々やってくる
とてもとても風が恋しく
あの日から
ひかれたのかな
偶然の
四つ葉が水に
揺れるあの日で
呼んでいる
呼んでいる
自己完結しろと呼んでいる
夜の花
月夜の花
てらされている花を影で隠す
雨が降る
春の激しさ
破れた傘はきのう捨てた
タワーと太陽
太陽とタワーの変化
グラデーションが景色を染め上げ
ネオンのひかり
夜の街並
無為であることを忘れさせ
街路灯のない
まっくらの静けさ
月の光がこうこうとともす
天の川
またたく星
あの三ツ星までいってみよう
星をとろう
星を取ろう
あの三ツ星をとりにいこう
夜の出来事が静かに消える
常温の太陽は鍵を持て余し
きちんとセットされたルームが並ぶ
遠近感がきわまりなく
一から百を歪めていく
窓から覗く河童
緑色の皿がひかひかの河童がみたもの
望遠レンズの様子
ちかちか光が風で舞い
向こうの塔から女性の着替え
非常口の走る人影の
勢い込んで進行方向にすれば
回転数奇の虜となる
パブロフの犬が走り去る
鍵はどうやら落としてしまった
メビウスの輪が薬指にはまる
日が沈みかけるオレンジの時刻
眠り猫があくびをし
カラスの大群が固唾をのむ
ラビリンスはつくられる
ぐにゃりとまがった空間の
誰もが持つあやうさを
口をあけたあと食いしばり
太陽はまた沈みゆく