余白のメモ

詩と短歌と好きな本
指の上で四季はほほえむ

未成熟

2020-06-18 22:19:41 | バラ色の獣の詩
僕には翼がない
ことはわかっている
背中の影が囁くのは
わかりきったことばかり
なのに神経をゆするのは
けなげな小さな花の蜜
願いは届かず足元をすぎる
なんでなの
わけもわからぬ手のぬくさは
おもわぬ方向へ手を伸ばす
望んだことは夢へと翻る
その夢は手の平の中
握った手をひらいてみれば
それはきっと飛んでいく
時を刻む針が進み
戻り
力を失くした魔法の時計は
失う怖さを恐れている
シンメトリーに鳥は闇を墜落
過去の畏敬
君の
君の肌
未成熟が握ったものは
鳥の羽
未成熟が見上げたものは
闇夜の月
壊れそうなホウトウを
大事にかかえ
指の爪をなくす
君の手をにぎるために
僕は爪をはがしていく
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