僕には翼がない
ことはわかっている
背中の影が囁くのは
わかりきったことばかり
なのに神経をゆするのは
けなげな小さな花の蜜
願いは届かず足元をすぎる
なんでなの
と
わけもわからぬ手のぬくさは
おもわぬ方向へ手を伸ばす
望んだことは夢へと翻る
その夢は手の平の中
握った手をひらいてみれば
それはきっと飛んでいく
時を刻む針が進み
戻り
力を失くした魔法の時計は
失う怖さを恐れている
シンメトリーに鳥は闇を墜落
過去の畏敬
君
君の
君の肌
未成熟が握ったものは
鳥の羽
未成熟が見上げたものは
闇夜の月
壊れそうなホウトウを
大事にかかえ
指の爪をなくす
君の手をにぎるために
僕は爪をはがしていく