存在が亀裂していく
鏡がひび割れたなかで覗いた世界
いくつものまぜこぜの形は
自分のココロとおんなじ
何かを探していたような気もする
何かを持っていたような気も
そして何かを失い灰がちらつく
僕とアナタはまだ手を
つなげているのだろうか
微かな希望のような
淡い昨日の景色は咲かせ続けている
場面場面は途切れ途切れに
不思議な感覚を運んでくる
信じられるものを
心の中のあなたはそっと教えてくれる
願い
いつか近く遠くにいるあなたに
この甘い言葉と切ない言葉と
アナタのつながりを幸運のクローバーで
うめつくしたい
この胸に住むアナタは
おしえてくれている
グルグル巻きにされた顔の包帯
息をするための隙間は乏しい
包帯に許された僅かの
網目をすり抜けて
吸うと吐くを繰り返す
熱くなる呼音は鈍くなり
身体中が酸素を必要だと
放心状態になってゆく
崩れる脳内麻薬は何かをだそうとする
唇は渇き声をだすことを躊躇う
反発が刺激となり胸のしんがブルッと震える
その反応が呼応して
手の自由がきかなくなる
止まらなくなる指の動きは
咽喉をどんどん揺さ振っていく
はちきれんばかりの斬撃が
耐え切れなくでたものは
化け物の叫び
どこぞのものとも似つかない
闇夜の底から湧き出たもの
この叫びはいかようのものか
イコールヘルプ
救いを求めるための記号
しかし誰にも気付かれない
何故なら化け物を巣くってしまったから
この声は誰のもの
綺麗な声ではなけない
側に来て
一人きりになったならきっと
叫び続けた咽喉は壊れ
かすれたまま
それでも止まらない
咽喉は破れ
包帯は全身を縛る
叫びはそこで切れ
身体と魂の崩壊が爪先から
皮膚はひび割れる
叫びは届かなかった
叫びは意味をなさなかった
包帯は地面に残る
優しさに包まれた声が
胸の奥深くまで沁み込み
あたたかな雪が音もなく降る
降れると静かに積もる
氷った体温
そしてとける氷った涙
次々と零れるつぶは
思い出にふれる
おもいがけない想いの数々は
懐かしくそして狂おしく
せりあがる
寂寥は弾けとぶ
あなたに会えてよかった
奇跡や運命という
彩られた孤島は影を捨て
僕は久しぶりの空気を吸う
森の中のあの空気を
通り過ぎた
心
今も残る
僕の中の心
何かを置き去りにしそうになる
そんな予感をかんじてならない
そしてそれは僕にとって
大切なもの
かけがえのないもの
それを失えば僕という存在が
あとかたもなくなる
今は息苦しさを感じている
それが予感と結びついている
僕の中の予感がそう警告する
身体を覆う壁がぐにゃりとひんまがり
細胞の一つ一つを刺激していく
放してはいけない
離れてはいけない
離れたくはない
けれど包んでいるのは
まっ赤に燃えた嘘ばかり
虚構の塔はバランスをなくし
虚無感のカラでうずくまる
僕はいつかあなたを探してしまうだろう
あなたは愁いを帯びた視線を辺りに向け
何かを探すように通り道を見る
その時
身体の重みに耐えられるかわからない
それでもあなたの手をはなしたくはない
僕はあなたをみつけていたい
泣けれたら
どれほどいいと
あああああ
涙はでずに
六月のなか