老後は京都で !

京都の町中(堺町六角)と東京(青山)を気ままに行き来する二地域居住を実践中。 

京都・六波羅・幻想~「清盛」(三田誠広著)~

2009年03月09日 | 平安時代の京都

三田誠広さんというと、われわれの世代には、「僕って何」で、芥川賞を受賞(1977年)した頃の、青春小説のイメージの強い作家だが、随分以前から、相当数にのぼる歴史小説も書いておられる。

三田さんは、般若心経や相対性理論の解説書まで書かれている、思想家肌の方だから、

私は、ある歴史上の人物や時代について、興味をもった時や、疑問をもった時などに、

(正統派の ? )三田誠広さんは、どう描いているのだろう、という関心から、氏の作品を手にすることが多い。

先日、本ブログで御紹介した、後白河上皇を主人公にした、「浄土の帝」(安部龍太郎著)を読んで院政末期という時代に興味をもった際、その次に読んだのも、三田さんの「清盛」(集英社)という作品だった。

清盛 清盛
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2000-12

この時代、形式上は鳥羽上皇の子とされる祟徳天皇が、実は鳥羽上皇にとっては祖父にあたる白河法皇の子(鳥羽上皇にとっては叔父にあたる)であったり(→鳥羽上皇は、陰で、祟徳天皇のことを、叔父にして子供という意味で、「叔父子(おじご)」と呼んでいたとされる)、

平清盛が白河法皇の落胤であるとされたりと、

摂関家も含め、人間関係が実に複雑だから(そこが、この時代の面白さでもあるのだが)、それぞれの人間関係がどう描かれているのか、異なる作家の書いたものを読み比べてみるのも興味深かった。

待賢門院や、美福門院、祇園女御など、魅力的な女性が次々に登場するのもいい。

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院政末期の京都を描いた歴史小説~「浄土の帝」(安部龍太郎著)~

2009年03月06日 | 平安時代の京都

浄土の帝 (角川文庫) 浄土の帝 (角川文庫)
価格:¥ 820(税込)
発売日:2008-12-25

後白河上皇というと、源頼朝に「大天狗」と呼ばれたように、策謀家のイメージが強いが、

「梁塵秘抄」を編纂し、今様に狂じられるなど、人間味に溢れている、という点でも、

個人の人格の見え難い天皇家の歴史のなかで、全く異色の存在と云える。

その、後白河上皇を主人公にした小説がある。

安部龍太郎さんの書かれた、「浄土の帝」がそれ。

浄土の帝 浄土の帝
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2005-07-30

今様三昧の青春時代から、近衛天皇の急逝による予想外の天皇即位、

保元の乱、譲位(上皇へ)、平治の乱をへて、

蓮華王院(三十三間堂)の落慶供養にいたるまでの時期

(平家が隆盛を極める直前の時期)が描かれている。

後白河帝にとって、今様とは何であったのか、

蓮華王院(三十三間堂)とは何なのか、

生涯三十数度に及んだという、熊野詣でとは何であったのか、がよく分かる。

特に、蓮華王院(三十三間堂)の落慶供養の描写は感動的で、

本書を一度読むと、

やや鄙びた感のある、三十三間堂の千本観音像などの仏像群やあの法住寺界隈などが、

歴史の彼方から、全く別物のように生き生きと甦ってくるような気にさえなってくる。

(本書に登場する人物)

鳥羽法皇、崇徳上皇、近衛天皇、後白河天皇、二条天皇、憲仁親王(後の、高倉天皇)、待賢門院、美福門院、信西法師、平清盛、源義朝、西行、関白忠通、康助(奈良仏師)、平滋子(高倉天皇の母御)など。

(本書に登場する場所)

三十三間堂(蓮華王院)、仁和寺、法住寺殿、六波羅館、新熊野(いまくまの)神社、東三条殿など。

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「装束の日本史~平安貴族は何を着ていたのか~」(平凡社新書)

2008年11月05日 | 平安時代の京都

京都に通うようになると、今まで気にも留めなかったことが、気になってくる。

貴族の衣装なども、その例で、京都文化博物館などの展示や、絵巻物に描かれた平安貴族の様などを、何度も観ているうちに、これは何と呼ぶのだろう、どのような時に着ていたのだろう、何か文書で書かれた決まりでも在ったのだろうか、など数々の疑問が湧いてくる。

そんなときに格好なのが、近藤好和さんという方の書かれた、「装束の日本史~平安貴族は何を着ていたのか~」(平凡社新書)。

装束の日本史―平安貴族は何を着ていたのか (平凡社新書 357) 装束の日本史―平安貴族は何を着ていたのか (平凡社新書 357)
価格:¥ 882(税込)
発売日:2007-01

同書では、律令制下の衣服令(いぶくりょう)や有職故実にもとづき、公家装束や女房装束、武家装束など装束の変遷を、イラスト入りで解説している。

最近の出版文化については、さまざまな議論もあるが、功罪入り混じる中で、確実に言えることの1つに、「新書文化」の目覚しい充実がある。

以前なら、考えられなかったようなテーマが、新書になる。この本も、その例の1つだろう。

ただ、出版点数が多いだけに、どんな新書が出ているのか、全貌を掴むことは難しいし、よほど良く売れ続けるものでないと、すぐに絶版になる。

このような新書事情を前提とする限りは、気になるテーマや著者のものは、眼に留まったらカイ、の姿勢で臨むしかない、とも思う。

なんとも、気ぜわしい時代ではある。

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幻の本? 京都学のバイブル「平安京提要」とは、どういう本か? (その2.)

2008年10月01日 | 平安時代の京都

[ 「幻の本? 京都学のバイブル「平安京提要」(その1.)」より、続く ]

「平安京提要」という本は、平安京遷都千二百年記念行事の一環として、企画・編集されたもので、

角田文衛さんが総監修を、古代学協会と古代研究所(編集協力として京都市埋蔵文化財研究所)が編集をそれぞれ担当し、

平成六(1994)年に出版されている。

サイズはB5版で、全部で1059ページ、各ページ二段組の、大部の本だ。

全体は、5つの部からなっていて、各部にも、そうそうたる研究者の方々が、監修として名を連ねている(→監修が、総監修と各部の監修の二層になっている)。

第一部「総説」→坂詰秀一・江谷寛

第二部「平安京の構造」→朧谷寿・山中裕・杉山信三

第三部「平安京の近郊」→杉山信三

第四部「平安京の遺物」→永田信一・浪貝毅

第五部「平安京研究史と研究史料」→村井康彦・井上満郎

圧巻は、この本のおよそ3割のページ数を占める、第二部の「平安京の構造」で、平安時代の条坊制にもとづいた区画ごとに、

かつて、そこに、何があったのか? や、

その土地の所有者が、誰から誰へ、移り変わったのか?

といった情報が満載されている。

しかも、これは学術書にとって不可欠のことだが、それぞれ、そう結論する根拠(文献名や発掘調査の結果)なども、記載されている。

たとえば、御池通り(南側)を歩いていると、間之町通りの東側に、「在原業平邸跡」、という石碑が建っている。

私は、長い間、そんな古い時代のことについて、何を根拠にしているのだろう?、と不思議に思っていた。

そんな疑問についても、この本で調べると、

この辺り(平安時代の条坊制によると、三条四坊三町)に、在原業平邸があったと伝えているのは、鴨長明の「無名抄(むみょうしょう)」だ、

ということが分かる、といった具合だ。

こんな情報がふんだんに盛り込まれているのだから、しかも、

それらは一流の研究者の眼で篩(ふる)いにかけられているのだから、

京都歴史マニアの間で、この本が、ヒッパリダコなのも、十分に、肯ける。

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幻の本? 京都学のバイブル「平安京提要」とは、どういう本か? (その1.)

2008年09月29日 | 平安時代の京都

平安京提要
価格:¥ 21,000(税込)
発売日:1994-06

「平安京提要」という本、京都学のバイブルとまで言われながら、今や、幻の本でもある。

京都に通い始めた6年ほど前、

京都について、少し本格的に勉強してみよう、と思いたち、

インターネットや書籍に眼を通していると、

「平安京提要」という本が、

この分野では、一番水準が高く、定評のある本らしい、ということが分かった。

どんな本なのだろう?、と思い、

京都の古書店を訪づれた際に、探したのだが、なかなか見つからない。

三年ほど前の年の暮れ、やっと、

キクオ書店(河原町三条上ル)の棚で見つけたのだが、値段が随分高い。

インターネットで、この本を買って感想を書いていた人の情報では、

二万円台だったのに、その時、キクオ書店では、八万円台で、ほぼ四倍。

あまりに、事前に得ていた情報と、相場の水準が違い過ぎるので、

躊躇したのがいけなかったらしい。

年が明けて、その次に、キクオ書店に行った時には、もう売れてしまっていたのだ。

結局、その後、神保町で、偶然見つけて買うことができたのだが、

私のささやかな経験でも、この本、入手することが随分難しい。

ちなみに、「日本の古本屋」という、古書籍組合のサイトで調べると、

現在、在庫があるのは、全国でも、キクオ書店一店だけで、値段は、9万円台。

流通量に比べて、需要が超過しているのだろう、古書価格がジリジリと上がっている。

それでは、「平安京提要」、いったい、どういう本なのか?

ということになるが、大部の本なので、それについては、後日、機会を改めて、ご紹介したい。

→「幻の本? 京都学のバイブル「平安京提要」(その2.)」に続く

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「源氏物語の京都案内」(文藝春秋編)

2008年09月23日 | 平安時代の京都

源氏千年紀の今年、いろいろの切り口の源氏物語本がでた。

そのなかで、私がオススメなのが、この「源氏物語の京都案内」。

源氏物語の京都案内 (文春文庫 編 5-9) 源氏物語の京都案内 (文春文庫 編 5-9)
価格:¥ 780(税込)
発売日:2008-03-07

①54帖すべてを、1帖4ページ、で紹介している。

②各帖4ページの構成は、すべて同じ(1ページ目で、その帖の「あらすじ」、2ページ目で、「人間関係図」(上半分)と「その帖の読みどころ」(下半分)、3ページ目は、その帖のゆかりの観光スポットの紹介とアクセス・マップ、それに、京菓子の紹介、4ページ目が、イメージ写真)

③文庫本なのに、3ページ目と4ページ目は、カラー刷り

とくに、3ページ目の京菓子の紹介は、ユニークで、「桐壷」→亀屋清永の清浄歓喜団、「帚木」→鶴屋長生のうば玉、「空蝉」→鶴屋吉信の夏衣、から始まり、「手習」→俵屋吉富の雲龍、「夢浮橋」→松屋藤兵衛まで、すべての物語に京菓子が、関連付けられている。

源氏物語がはじめての人は、各帖1ページの「あらすじ」を、まず54帖通しで読めば、大部の源氏物語を読んだ気になれるし、

源氏には相当詳しい人でも、寺社や花々,京菓子のカラー刷りのイメージ写真に、あらたな想いを巡らせることもできる。

文藝春秋という伝統のある出版社が、会社名で編纂しただけあって、充実しており、文庫本の域を超えている本だと思う。

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京都時代MAP(平安京編)

2008年09月11日 | 平安時代の京都
京都時代MAP 平安京編 京都時代MAP 平安京編
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2008-04-01

光村推古書院の人気シリーズ、「京都時代MAP」の平安京編。

本書は、平安前期、平安中期、平安後期の3部構成となっている。

そして、これら3つの時期それぞれの歴史地図には、半透明の現代地図が重ねられている。

たとえば、平安中期のページで、イノダコーヒーの本店(堺町六角上ル)の在る場所を、半透明の現代地図上で見つけ、

その下を透かして見るか、半透明のページを持ち上げて見ると、

平安中期には、そこに待賢門院の御所があったことが分かる、という仕組みになっている。

平安中期の歴史地図には、源氏物語ゆかりの事跡の推測地点も、ふんだんに盛り込まれており、

それらが現在のどの地点にあたるのか、瞬時に分かるのだから、見ていて飽きることがない。

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「小野篁妹に恋する事」(谷崎順一郎作)

2008年08月28日 | 平安時代の京都
歴史小説の世紀 天の巻 (新潮文庫) 歴史小説の世紀 天の巻 (新潮文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:2000-08

先日紹介した、「王朝物語」の中で、中村真一郎さんが分析の対象にしている物語の1つに、「篁物語」がある。

小野篁といえば、昼間は朝廷の役人をしながら、夜は六道珍皇寺の井戸から冥界に通い閻魔大王に仕えた、という超人振りで知られ、どちらかというと、現代では、硬派のイメージの方が強いかもしれないが、

王朝文学の世界では、妹と恋に落ち、子を孕ませた、という近親相姦伝説の主(ぬし)でもある。

その伝説の元となった「篁物語」については、谷崎順一郎さんも、「小野篁妹に恋する事」と題する作品を残している。

この作品は、たとえば、冒頭に掲げた「歴史小説の世紀・天の巻」にも収録されており、容易に読むことができる。

秋の夜長、小野篁の、そんな、もう1つの側面(中村真一郎さんは「色好み」と呼んでいる)に思いを馳せるには、格好の作品といえる。

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「王朝物語」(中村真一郎著)

2008年08月26日 | 平安時代の京都
王朝物語 (新潮文庫) 王朝物語 (新潮文庫)
価格:¥ 660(税込)
発売日:1998-01

高校生の頃、同じ著者の「頼山陽とその時代」という相当に大部の本と出会い、

世の中には随分凄い人がいるものだ、

と思ったのを今でも憶えている。

冒頭に掲げた、「王朝物語」は、

その中村真一郎さんが、

「竹取物語」から始まる、わが国平安期の王朝物語文学を1作づつ、

ギリシャ・ローマ時代の小説や、ペリシア説話、中国の伝奇文学など、

世界の古典文学と対比させつつ、解説した異色の文学評論。

対象としているのは、

  • 「竹取物語」(第1章)
  • 「伊勢物語」(第2章)
  • 「篁物語」(第4章)
  • 「宇津保物語」(第5章)
  • 「落窪物語」(第6章)
  • 「源氏物語」(第7章)
  • 「浜松中納言物語」(第9章)
  • 「夜半の寝覚」(第10章)
  • 「堤中納言物語」(第12章)
  • 「栄花物語」(第13章)

など二十数編。

源氏以前に書かれた、「宇津保物語」を、

「平安中期の社会の全貌と、人間群像を描き」きった長編小説として、

中村真一郎さんが、極めて高く評価しているのが印象に残った。

( → こういうことを言う人は少ない) 

なお、実の妹に子を孕ませた、という小野篁の近親相姦伝説の元になった、

「篁物語」に関する著者の分析も興味深いなど、

碩学と呼ばれる人ならでは、の話題の豊富さや話の飛び方が堪能できる。

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「図解雑学・空海」

2008年08月13日 | 平安時代の京都
図解雑学 空海 (図解雑学シリーズ) 図解雑学 空海 (図解雑学シリーズ)
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2003-10

京都には、弘法大師空海ゆかりの寺院や史跡が多い。

嵯峨天皇に下賜されて以降、真言密教の根本道場として今日に至っている東寺(教王護国寺)は別格としても、

最澄に密教灌頂を授けた神護寺、空海が一時別当を務めていた乙訓寺、

西寺の守敏と雨乞いの法力争いをした神泉苑、

法力で泉を湧かせたという伝説の「五智の水」のある今熊野観音、

空海が設立した、わが国初の庶民にも門戸を開いた学校、シュ(糸ヘンに宗)芸種智院跡の史跡、

など空海さんゆかりの地は京都中いたるところにある。

よく注意しないと見過ごすが、四条通りに染殿地蔵と呼ばれる、小さな地蔵寺がある(その敷地は丁度L字形のかたちをしていて、一方は新京極に面している)。

京都にいるときは、毎日のようにその前を通るのだが、

先日も、そこで空海が主著の1つ「十往心論」を書いた、

ということを知って、京都という街の中の、空海さんの足跡の多さに、あらためて驚いた。

京都を理解するには、

こうした、空海や最澄、法然や親鸞などの宗教家の思想や事跡についての理解が不可欠なのだが、

探しても、なかなか適当な入門書というものがない。

この図解雑学空海は、右頁にイラストや図解、左頁に文章による解説、と必ず見開き1テーマとなっていて、

ページを繰っているだけで、なんとなく、空海の生涯が分かった気になる、不思議な本だ。

逸話やエピソードの多い、超人空海さんの生涯があますところなく描かれているのもよい。

読書の醍醐味を存分に味わえる、オススメの空海本。

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「紫式部の生きた京都」

2008年07月30日 | 平安時代の京都
紫式部の生きた京都―つちの中から 紫式部の生きた京都―つちの中から
価格:¥ 1,000(税込)
発売日:2008-07

京都市埋蔵文化研究所の監修になる源氏物語千年紀記念出版物。

値段が廉価なのに、内容が濃いのに驚く。

たとえば、今ではほとんど入手困難となった「平安京提要」(古書店でたまに出ても10万円近くする)に掲載されていた平安京図や、

左京区岡崎にあった六勝寺(勝という字をその名に含む6つの寺)のそれぞれの寺域を示したマップ、

東寺や西寺、法勝寺、法成寺などの寺(その境内を含む)や白河一帯の復元模型の写真、

現在の京都市の地図の上に、色を変えて当時の街並みを重ねた平安京マップなど、

とにかく、本格的な情報が盛りだくさんなのだ。

紫式部ゆかりの地を訪ねる「紫式部散策マップ」もついている(このマップの網羅性も凄い)。

平安期の京都を知るのには(よほどの研究者でもないかぎり)これ一冊で十分ではないか。

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紫式部を主人公にした小説

2008年07月28日 | 平安時代の京都
散華―紫式部の生涯〈上〉 (中公文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:1994-01
散華―紫式部の生涯〈下〉 (中公文庫)
価格:¥ 980(税込)
発売日:1994-02

紫式部を主人公とした、私の知る限り、唯一の小説。

その名が世界的に高名なのに、その生涯についてほとんど知られていない、この大作家の生涯について、

同じ女性作家である杉本苑子さんが、その想像力の限りを尽くして描いている。

葦の茂る賀茂川の河畔、夜盗が出没する平安京の夜の闇など、

紫式部の生きた時代の京都に想いを馳せるのには、数少ない、

そして、格好の一冊だと思う。

藤原道長と紫式部の関係も、後半のテーマの1つで、

二人の微妙な関係の描写も女性作家の杉本さんならでは。

源氏千年紀の今年、この小説はもっと注目されてよいのでは!

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京ことば訳源氏を応援しよう(その2)

2008年07月11日 | 平安時代の京都
花のかさね 京ことば訳『源氏物語』より 花のかさね 京ことば訳『源氏物語』より
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1999-01
現代京ことば訳 源氏物語〈4〉匂兵部卿‐早蕨 現代京ことば訳 源氏物語〈4〉匂兵部卿‐早蕨
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2005-06
現代京ことば訳 源氏物語〈5〉宿木‐夢の浮橋 現代京ことば訳 源氏物語〈5〉宿木‐夢の浮橋
価格:¥ 2,205(税込)
発売日:2005-06

(その1より続く)

この現代京ことば訳源氏物語は、以前3巻セットで出ていたのが、新装版では5巻セットとなった。

以前のものは重厚すぎて寝転んで読むには不向きだったが、新装版の方は手軽でそれも可能だ。

いずれにしろ、源氏の世界を感じるのに最もいい訳本だと私は思うのだが、

出版社の営業力の違いか、他の訳本に比べ、

プレゼンスが薄い(さすがに千年紀の今年は京都の書店ではどこでも店に置いているようだが、東京では大手の書店でも常備していないところが多く、その場合注文して取り寄せざるをえないことになる)。

この現代京ことば訳の存在は、もっともっと知られてしかるべき、と思う。

京ことばを愛するみなさん、中井訳を応援しましょう。

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京ことば訳源氏を応援しよう(その1)

2008年07月11日 | 平安時代の京都
現代京ことば訳 源氏物語〈1〉桐壺‐明石 現代京ことば訳 源氏物語〈1〉桐壺‐明石
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2005-06
現代京ことば訳 源氏物語〈2〉澪標‐藤の裏葉 現代京ことば訳 源氏物語〈2〉澪標‐藤の裏葉
価格:¥ 2,730(税込)
発売日:2005-06
現代京ことば訳 源氏物語〈3〉若菜‐雲隠 現代京ことば訳 源氏物語〈3〉若菜‐雲隠
価格:¥ 2,205(税込)
発売日:2005-06

源氏物語千年紀で京都は賑やかだ。

しかし、源氏物語という高名な大河小説を通読するのはなかなか容易ではない。

現代語訳はいろいろ出ているが、何か味気ないのだ。

この京ことば訳源氏の訳者の中井さんも、

標準語訳だと意味は置換できても感性が洩れる、という考えらしい。

確かに、紫式部が使っていた言葉に一番近いのは京ことばにちがいない、

とすれば、源氏の訳本は京ことば訳に限る(最も洩れが少なくなる)、

なにやら、コロンブスの卵のような話だが、説得力はある。

ちなみに、訳者の中井さんは、京都市長刀鉾町生まれ、京大文学部卒、

長年京都府立大で教鞭をとられた生粋の京都人(いわば京都弁のネイティブ・スピーカー)だ。(続く)

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