昨日のお約束・
大好きな「夢航海」の製法とは??
今回は、浸漬に関する話題です。
浸漬というのはお米を蒸す前に水にひたして、
蒸し上がりがよくなるように水を吸わせる工程です。
今はお米をつけておく時間というのは、
長くても1時間くらいですが
沖縄が日本に復帰する前(1970年ごろ)までは
15時間~24時間浸けていました。
この手法を「シー汁浸漬法」と呼びます。
今回は、そのお話ですよ。
◆◆シー汁浸漬法とは◆◆
シー汁浸漬法の特徴は2つです。
浸漬時間が長い(通常は1時間、シー汁浸漬は20時間)
浸漬するときに前回の浸漬水を加える
浸漬する時間を長くすることで、水の中に乳酸菌などの微生物が増えてきます。
この乳酸菌が増えた水を次の浸漬の時に一部使用します。
前回の浸漬水を乳酸菌のスターターとして使っているわけです。
こうすることで、優先的に乳酸菌を増やすことができ、
それによって浸漬水は乳白色のヨーグルトっぽい匂いがしてきます。
ちなみに、
シー汁浸漬の「シー」とは沖縄の方言で「すっぱい」という意味です。
(シークワーサーのシーと同じ意味です。)
乳酸菌が増えることによって、浸漬水は酸性になり、すっぱくなります。
「シー汁」とは『すっぱい液体』を意味しているわけです。
◆◆シー汁浸漬を行う理由◆◆
昔、シー汁浸漬という方法がとられたのはなぜでしょうか?
理由は3つあります。
硬いタイ米を蒸しやすくするため
製麹や『もろみ』において温度が急激に上昇しない
製麹の時の汚染が少ない
設備、特に冷やすための装置がなかった時代、
夏場の麹作りや『もろみ』の温度管理は非常に難しいものがあり
麹菌や酵母菌が盛んに活動するにしたがって、
麹や『もろみ』は非常に温度が上がってきます。
でも、麹菌も酵母菌も生き物ですから暑さには弱いんですね。
酵母菌は30度を超えると死んでしまいます。
そこで、シー汁浸漬を行うことで温度の急な上昇を防ぎ、
冷却設備が乏しかった時代でも安定的に泡盛作りができたのです。
参考文献: 菅間誠之助 醸造協会誌
◆◆どうして、シー汁浸漬をすると温度上昇が抑えられるのか◆◆
製麹時や『もろみ』において急激な温度の上がりを抑えられる理由は、
浸漬水中の乳酸菌によって米の表面が食べられ、
通常の浸漬に比べお米の栄養素が少なくなるからです。
ビタミン類などのお米の栄養素が少なくなることで、
麹菌や酵母菌の生育が抑えられます。
それによって、急激な温度上昇が防げるわけです。
(熱は麹菌や酵母菌の活動によって発生します。)
同じように麹菌以外の雑菌も増えにくくなるため、
麹を作るときに汚染が少なくなるわけです。
このような、シー汁浸漬中の乳酸菌等の働きは、
日本酒が精米といって
『お米を削り酒の雑味を抑える技術』に似ていることから、
「生物的精米」と呼ばれています。
このことを科学的に解明したのが、
東京農業大学の小泉武夫先生のグループと、忠孝酒造です。
そして、この研究を基にして生まれたのが
「昔醸 翠古(むかしづくり すいこ)」と
虜に為っている酒「夢航海」
綺麗なブルーのボトルの泡盛の古酒です。
忠孝酒造の夢航海がリニューアル、さらに美味しくなって新発売の
《夢航海 シー汁浸漬法 30度》
これは、昔ながらの泡盛の作り方を復活させた忠孝ならでわの技術力!
今までの夢航海はアルコール感が少し強かったですが、
旨味すら感じるさらにイイ酒に仕上がっていますよ♪
チョイ辛口の円やかなほのかな香り・「夢航海」
ヨット好きには堪りません・・
一杯目は??
ヤッパリ・・ロックで呑るのがベスト!!