白河夜舟

水盤に沈む光る音の銀砂

影絵の世界 1

2006-07-09 | 哲学・評論的に、思うこと
『理論があって絵があるのではありません。 あるとすればそれは追随です。 絵があって理論があるのではありません。 あるとすればそれは批評の分野です。 製作を通じての思索と苦しい試行錯誤のなかから あふれ出たものが、そのひとそれぞれの 「絵のことば」になるのでしょう。 直観的に強い絵ではなく、 漸達的にして追々に光輝を発する絵。 絵を慈母のごとく仰いでその懐中に抱かれんとする者、 美的礼拝者 . . . 本文を読む

影絵の世界 2

2006-07-09 | 哲学・評論的に、思うこと
感覚と思想が矛盾無く調和していることにこしたことはなく、 両者の弁証的、対立的な関係のどこかに一致点を持ち、 それが歴史の発展の力になっていることが望ましい。 しかし、われわれの時代の宿命的な不幸は、それら両者に 調和も統一もない、感覚と思想の分裂のみが存在することだ、と 唐木順三は述べた。 唐木の言葉を引こう。 *************************** . . . 本文を読む

影絵の世界 3

2006-07-09 | 哲学・評論的に、思うこと
非現実の存在を肯定的に捉えることにより、 空間や時間の因果律から逃れた「影画の世界」において シュール・レアリスムが試みた奔放な空想、狂気、妄想の 表出による、科学的世界観への平手打ちと現実からの脱走も、 芸術が、芸術と信じられた時代であったからこそ有効であった。 作品に対する鑑賞者の能動的な観照のエネルギーが摩滅し、 ただ、作品が受容されるがままに過ぎ去られる現在では、 芸術作品から我々が受ける . . . 本文を読む