テンダーロイン地区は行かないほうがベター
Tenderloin District cop (SFPD)
現在のテンダーロイン署
シンフォニーホールのカベに落書き
この危険エリアで働く警官をモデルにした小説をかきました。
(本編より)
ケリーは私の耳元でささやくよりももっと小さな声で言った。
「わたしがこいつをとめる。おまえのライトを消せ。絶対にライトは使うな。お前はあいつから見えないところですぐに救援を呼べ。サイレントアプローチだ、わかってるな。それからわたしの右側でお前が援護してくれ。この男を説得してみる。うまくいくかどうかはわからないが、万一、わたしの身に何がが起こっても、わたしのことにはかまうな。お前は彼女たちを救うことだけ考えろ。わたしのことは絶対に心配するな。もしも、あいつが彼女たちに何かしようとしたら、お前は正しいことをしろ。わかったな」
「わかりました」
私はすぐに建物の影になった暗い場所に入って無線の音量を小さくしぼり司令室に救援を要請した。
「こちら3アダム42、コード3。場所はアントニオ。エリスとオファレルの間、ジョナスの西。ナイフを持った男が人質を取っている。容疑者は白人。年齢30代、黒髪、ブルーのシャツ、茶色のズボン、女性を二人、人質に取っている。ネゴシエーター(交渉人)とSWATを要請する。全ユニットにサイレントアプローチを要求する。繰り返す。サイレントアプローチ」
通信を終え、ケリーのほうを振り向いたと同時にパトカーのサイレンが聞こえた。それは次第にこちらの方角に近づいてくる。
バカヤロウ! 無線を聞いてなかったのか! 誰のパトカーか知らないが、とにかく早く消してくれ! 音は男の神経を逆なでする。しかし、サイレンはなりやまない。