★INOUE AKIRA & M.I.H. BAND 「wish」 (2006年11月1日発売) UUCH-5074
CD 1. wish 2. requiem ~wish~ 3. wish (original karaoke)
DVD 1. requiem ~ wish/documentary 2. wish ~original clip
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本田美奈子さんが天に召されて、ちょうど1年後の11月6日(月曜日)、故郷・朝霞市の会場に美奈子さんゆかりの人たちが多数集まり、追悼コンサートが行なわれた。コンサートの様子は、Minako Fan Worldをはじめとするファンサイトで、詳しく紹介されているので、そちらを参照して頂ければよいと思う。自分もぜひ参加したかったのだが、この時期は、あいにく、帰国の都合がつかない。ちょうど、ニューヨークシティ・マラソンと重なってしまうのである。
昨年のニューヨークシティ・マラソンは11月6日。まさに同日だったのだ。自分が美奈子さんの悲報を知ったのは、レースの終了後だったが、もしも、レースの直前に知っていたら、ショックで走れなかったかもしれない。
さて、美奈子さんの一周忌に先立って、「wish」と題する追悼シングルが発売された。発売一週目にして、オリコン初登場4位と、好調な滑り出しである。
すでに多くの人がご存知の通り、この曲はもともと、美奈子さんのクラシック・アルバムのサウンド・プロデュースを担当した井上鑑氏の呼びかけで、病床の美奈子さんを元気づけるために送り届けられたデモ・クリップであり、美奈子さんが無事に回復すれば、これが復帰第1作となる予定だった。
その願いは叶うことなく終わったが、美奈子さんが病床で書き残した言葉をもとにして歌詞が付けられ、福山雅治ほか、デモ・クリップに協力した同じメンバーの演奏で、美奈子さんへの追悼シングルとして日の目を見ることになったのである。
曲想は、力強く、スケールが大きい。さすがに、復帰第1作の想定で作られた曲だ。もしも、当初の予定通り、美奈子さん自身が歌っていたとしたら、「つばさ」に匹敵する代表作になっていたかもしれない。J-POP世代にもアピールできるロック・バラードでもあるので、若い人たちの間にも、「アーティスト・本田美奈子.」の素晴らしさは、広く認識されたことだろう。
歌詞は、まさしく、美奈子さんが最後に伝えようとしていたメッセージだ。
「駆けまわるこどもなら 素直に感じること 風が気持ちよいこと ただ忘れていた・・・」「ひとにつながりながら いま生きていること 時は そっと教える 時が きっと愛おしくなる・・・」「生きる意味は 生きること 探しながら 迷いながら 生きるために 生きること かけがえのない日々 ただ抱きしめて・・・」
人生の目的とは何だろうか、という哲学上のテーマに対して、ここに一つの回答が与えられているのではないだろうか。生きる目的は、生きることそのものにある。これが、生死をさまよう闘いを通して、美奈子さんが得た結論かもしれない。この世に生存する、あらゆる生物は、意識しようとしまいと、懸命に生きているのだ。生きようとする意志そのものが、この世界を存続させるエネルギーにつながる。そう本能的に感じ取っているかのように。
生きることの尊さを実感すれば、一部の人たちのように、生きることを放棄したり、殺し合いをすることなどは、考えられなくなるはずだ。
もし、死にたくなるような辛い目にあったなら、美奈子さんの歌を聴いてほしい。国家の指導者も、美奈子さんの歌を聴くべきだ。その言葉と歌声から、地球に生まれた、かけがえのない細胞の一員として、生きるために必要な多くのことを教えられるはずだから。
永根
「SONG FOR MEGUMI」は、まだ聴いていませんが、ポールさんが歌っているという話は聞いています。大変素晴らしいことで、ぜひCDの購入も考えてみたいと思います。