375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】第35回ベルリンマラソン(2) レース編

2008年10月03日 | 大会レポート 2008


★統一ベルリンの象徴、ブランデンブルク門を通り抜け、感動のゴールを目指すランナーたち。
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9月28日(日曜日)朝9時、激動の大都市ベルリンの中央公園として知られるティーアガルテンのスタート会場に到着した。

ニューヨークシティ・マラソンに続く、世界5大メジャーの2レース目、ベルリンマラソン。自分にとっては初の欧州レースであり、通算11本目のフルマラソンとなる。

スタート時の気候は、摂氏10度で快晴という絶好のコンディション。自身の体調は…と言うと、時差ボケの影響と極度の興奮からか、前夜はほとんど眠れない状態だった。それでも、体に違和感があるわけでもなく、レース会場に到着してからは、気分はますます高揚し、歴史的な舞台に立てる喜びに浸っていた。

スタート前、招待選手を紹介するアナウンスが聞こえてくる。地元ドイツ期待のイリーナ・ミキテンコ選手、昨年打ち立てた世界記録の更新を狙うハイレ・ゲブレシラシエ選手の名前が呼び上げられると、ひときわ大きな歓声が巻き起こった。

そしてスタートの号砲。選手たちが手にしていた黄色い風船がいっせいに放たれると、群衆の列がゆっくりと前のほうに移動していく。フルマラソンの参加者3万5千人以上。すごい人数だ。数分後、ようやくスタートラインを越え、まずは6月17日通りを西に向かって走り出す。青空を突き抜けるようにそびえる戦勝記念塔(ジーゲスゾイレ)を過ぎたところが1㎞地点。エルンスト・ルーター広場に突き当たったところで左に折れ、アルト・モアビット通りに出てからは市街の北側を東に向かう進路となる。

路上で小旗を振るおびただしい応援団。隣国デンマークの国旗が目立つ。自分の周囲にも、赤と白のデンマーク国旗をモチーフにしたウェアのランナーがたくさん走っており、かなりの数の選手団を送り込んでいることが容易にうかがえる。

ベルリン中央駅近くで5㎞地点を通過。ここまでは、27分ちょうど

スタートからやや脚が重く、ペースも遅いが、ここまではまだ想定の範囲内。これから体を暖めながら、少しづつペースを上げていけばいい。

やがてコースは旧東ベルリンのミッテ地区に入り、アレキサンダー広場の北方付近にさしかかる。
このあたりが10㎞地点で、5㎞地点からのラップタイムは26分32秒に上昇。いい感じになってきた。

11㎞地点あたりから17㎞地点くらいまでは、ベルリン市街地の南東部に向かうコース。途中でシュプレー川の橋越えもあるが、ほとんど気づかない程度のアップダウンで、ペースには影響がない。17㎞地点以降は東に折れ、ポツダム通り近くの中間地点に向かう。

このあたりの区間で、ようやく脚が軽くなり、待望のランナーズ・ハイに突入。
5㎞ごとのラップが26分を切れるようになってきた。

10km-15km  25分53秒
15km-20km  25分51秒

前半ハーフの通過タイムは1時間50分57秒。今年5月のニュージャージーマラソンでは、ハーフを1時間49分台で通過しているので、それよりは遅いが、とりあえず想定内のペース。このまま順調に行けば、どうにか3時間40分台が確保できる見通しが立ってきた。

ハーフ地点から30㎞地点まではヴィルマーズドルフ地区を南西から西の方向に進むコースとなる。沿道からの声援は相変わらず鳴りやまない。ベルリンの街自体が途方もなく大きいので、42.195kmの周回コースが、すっぽりと収まってしまう。なにしろ東京23区の1.5倍の面積があるというのだから、驚きだ。

ベルリンマラソンは高速コースとして知られるが、なるほど記録の出やすい条件はそろっている。ペースを乱されるような起伏もなく、直射日光で体力を消耗することも少ない。木陰に入ると涼しい風が吹き、適度な体温を保つコンディションに恵まれている。

それに、街をあげての大応援。記録を狙うシリアスランナーばかりではなく、お祭りランの名物、仮装ランナーも多い。すぐ左手を、裸同然のフラダンス・ランナー(たぶん男性)が追い抜いて行くと、ひときわ大きな歓声が盛り上がった。

ハーフを過ぎると、ランナーズハイにはやや陰りが見えてきたが、それでも30㎞地点までは悪くないペースを維持した。

20km-25km  26分37秒
25km-30km  27分16秒

27㎞地点にさしかかったあたりで、一度脚にきてペースが落ちる。レース前1ヵ月でのロング走の最高が27㎞だったので、その結果が正直に脚に現われた形になったのだが、この最初の試練は携帯していたパワージェルを摂取することで、落ちついて乗り越えた。

30㎞地点以降は、北東の進路を取って市内中央部に戻ってくるコースとなり、レースも佳境を迎える。35㎞地点でカイザー・ヴィルヘルム教会のモニュメントを通過し、38㎞地点では、今でも「ベルリンの壁」の一部が保存されているポツダム広場を通過。40㎞地点を過ぎると、いよいよ最後のクライマックス、ウンターデン・リンデンの大通りを東に向かう直線コースに突入する。

27㎞地点あたりから疲れの見えた脚はいったん回復したが、33㎞地点あたりから2度目の試練を迎える。それもどうにか乗り越えると、37㎞地点以降はほとんどずっと乳酸の溜まり切った脚を進めていく闘いだった。

それでも、最後まで鳴りやまない大応援と、美人揃いのチアガールのパフォーマンス、絶え間なく続くドラムの音に後押しされ、精一杯の粘りを発揮。どうにか最小限のペースダウンに抑えていく。

30km-35km  28分11秒
35km-40km  29分06秒

そして最後の直線コース。名門フンボルト大学と啓蒙君主で知られるフリードリッヒ2世の銅像を右手に見て、統一ベルリンの象徴ブランデンブルク門を通過する。そして耳をつんざくような大歓声の中、一度も立ち止まることなく感動のゴール。

「Congratulation!」思わず、隣りを走っていた男性ランナーと祝福の声をかけ合った。

ゴールタイムは3時間48分49秒
今年5月のニュージャージー・マラソンと同じく、3時間48分台に到達。

厳密に言えばセカンドベストだが、後半ハーフに関しては今までのフルマラソンで最も健闘しており(1時間57分52秒)、内容的にはベストレースと言えるような手ごたえだった。

街の中心部をスタートし、一度も郊外に出ることなく、再び街の中心部に戻ってくる周回コース。
最後まで鳴りやまない大応援と、怒涛のように突き進むランナーたち。

さすがに世界5大メジャーのひとつになるだけのことはある、ものすごい大会だった。
こういう素晴らしい体験ができるのは、まさにランナー冥利に尽きると言えるだろう。


★レース当日の朝、ガラス張りのベルリン中央駅から続々とランナーたちがやってくる光景は壮観。


★ゼッケン番号ごとに、荷物を預けるテントが用意されている。トラックなどで輸送する必要がないのは、周回コースならではの利点。


★指定されたスタートエリア「F」に向かう。途中、森へ迷い込んだり、予想外に長い旅だった。


★ようやくスタートエリア「F」に着くと、すでにスタート10分前(汗)。ものすごい群衆が行く手をふさぐ。


★ランナーたちが手にしていた黄色い風船が一斉に放たれ、いよいよ世紀の大レースがスタート。


★そしてゴール後、アディダスのロゴ入りの黄色いビニールをはおり、リフレッシュメント会場へ歩く。


★リフレッシュメント(その1)。美人ボランティアたちがふるまう栄養ドリンク、レッドブル


★リフレッシュメント(その2)。飲み放題の名物ベルリン・ビール。これが楽しみで参加するランナーも多い。


★42.195㎞を完走した後のビールの味は格別。この感動は何度でも味わいたい。


ドイツ連邦議会議事堂前の広場も、ランナーでいっぱい。レース後ものんびりくつろげるだけのスペースがたくさんあるのも、この大会の魅力だ。



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