375's ROAD TO BOSTON/ゴールは虹の彼方に

米国在住ランナーの究極目標「ボストンマラソン」とアメリカ50州制覇を目指す人生の旅日記。

【大会レポート】第11回ケベックシティ・マラソン

2008年08月27日 | 大会レポート 2008


★セントローレンス川を渡るフェリーから見た、シャトー・フロンテナック
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8月24日(日曜日)、ケベックシティ・マラソンに参加。これが通算10度目のフルマラソンとなる。
カナダ遠征は、昨年9月のトロント・ウォーターフロント・マラソンに続いて2度目。

同じカナダでも、英語で用が足せるオンタリオ州と、フランス語が唯一の公用語であるケベック州とは、まるで別の国のような雰囲気だ。

宿泊したホテルは、新市街のグランダレ大通り沿いに位置するシャトー・ローリエ
ここは3つあるオフィシャル・ホテルのひとつであり、パスタディナーの会場になっていたこともあって、多くのランナーが宿泊していた。レース当日の朝は、専用のシャトルバスで、フェリー乗り場に向かう。そしてフェリーに乗って、セントローレンス川を挟んだ対岸の街レヴィに渡り、ここからさらに別のシャトルバスに乗り換えて、フルマラソンのスタート地点に向かうのである。


★対岸の街レヴィに向かうフェリーにて。後方にケベック旧市街の光景が見える。


★フェリーの甲板に佇むランナーたち。
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このレースを迎えるにあたって最も心配していたのが、気温の上昇だった。前日の土曜日も、高緯度に位置するケベックとしては季節はずれの暑さだったが、レース当日も快晴で、かなり暑くなりそうだった。なにしろ、夏のフルマラソンは初体験。さらにはスタート時刻が比較的遅い(午前8時30分)ので、どうしても正午過ぎのゴールになってしまう。

作戦としては、体力の消耗を避けるために、余力を残したペースで前半を乗り切ること。そして、ケベックブリッジを渡ってからの終盤で勝負をかける、というものだった。

ちなみに、この大会の距離表示は少し変わっていて、「残り○○㎞」という黄色い看板が1㎞ごとに登場してくる。数字がだんだん小さくなっていくのだ。

それとは別に「これまでに○○mile進んだ」という赤い看板も5mileごとに出てくるので(こちらは当然、数字がだんだん大きくなる)、両方の距離表示を参考にしてペースを調整することができる。今回は、ひとまず残り40㎞を起点にして、5㎞ごとにラップを取ることにした。

残り40km      12分05秒 
残り35km      39分04秒(残り40㎞から35㎞まで 26分59秒)
残り30km 1時間06分19秒(残り35㎞から30㎞まで 27分15秒)
残り25km 1時間33分21秒(残り30㎞から25㎞まで 27分02秒)
残り20km 2時間01分13秒(残り25㎞から20㎞まで 27分52秒)

前半のハーフは1時間55分台と、まずまずのペース。レヴィの小高い丘を出発し、しばらくの間はダウンヒルの直線道路を東に向かう。バイクパスに折れてからはセントローレンス川の南岸を西に向かうコース。このあたりは、川沿いの美しい眺めと、適度に日陰のある並木道と、地元住民が「ブラボ、ブラボ」とフランス語で呼びかけるアットホームな声援のおかげで楽しく走ることができた。

残り37km地点あたりからは、今回初めてお会いしたジョグノート仲間のmikaさんと並走。バンクーバー在住のmikaさんは、夏の間はケベックに住むご主人の実家で生活している。今年5月のバンクーバー・マラソンでサブ4を達成しただけあって、なかなか速い。少なくともこの段階までは、お互いに調子が良さそうに思えたのだが…。試練は後半に訪れた。

第1の試練は、中間地点を過ぎたあたりで突然現われた急坂。ここに至るまでのコースも起伏はあったが、ペースに影響するほどではなかった。だが、この急坂は違う。セントラルパークのノースヒルもかくやと思われる急勾配で、さすがに残り20㎞から15㎞の間でガクッと減速してしまった。

残り15㎞からは、いよいよケベックブリッジを通過。このあたりは多少盛り返し、終盤に望みをつないだのだが…。残り10kmを過ぎてから、思いもよらぬ、第2の試練に出くわすことになった。


エッフェル塔の仮装で走るランナーとその仲間たち。


★残り15km地点、ケベックブリッジに突入する。


★建設中に2度崩壊したといわれるケベックブリッジ。歴史を感じさせる趣きだ。
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残り15km 2時間31分19秒(残り20㎞から15㎞まで 30分06秒)
残り10km 3時間00分13秒(残り15㎞から10㎞まで 28分54秒)

ここまでは、まだどうにかサブ4を死守できそうなペース。いよいよ最後の追い込み、と気合を入れて飛ばそうとしたのだが…。

まったくスピードが出ない。残り10kmから残り9kmまで、なんと6分15秒かかってしまう。
残り9kmから残り8kmまでは、さらにペースが落ちて6分30秒。
いったい、どうしたことだ?

ケベックブリッジを越えて、セントローレンス川の北岸を東に向かうコースに入ってからは、平坦で走りやすくなるはずだった。しかし実際は日差しを遮るものがなくなり、体感温度がみるみる急上昇していくのがわかった。給水所のたびに、水を頭からぶっかけて冷却するのだが、もはや追いつかない。そして残り10km、カンカン照りの日差しがついにオーバーヒートを招き、体力が限界に達したのである。

ふと周囲を見ると、いつになく歩いているランナーが多い。さらに行くと、すぐ目の前で、倒れたランナーが救急車で運ばれていく壮絶な光景を見る。そうこうするうちに、自分もいつしか意識が朦朧としてきた。さすがに今回ばかりは身の危険を感じ始めた。

最近のフルマラソンは、ほとんど歩かずに完走している。それだけに「苦渋の決断」だったのだが、残り7km地点で、意を決して少し歩くことにした。

ただし、歩き過ぎると、2度と走れなくなってしまうことも経験上知っている。なので、少し歩いたら、走り始め、また歩き、また走ったりしながら、とにかく無事に完走メダルをゲットすることだけを考えてゴールに向かった。こうなると、1kmごとの距離表示が異様に長く感じてしまう。

残り5km 3時間33分23秒(残り10㎞から5㎞まで 33分10秒)

普段のジョグなら何でもない「残り5km」という距離が、重くのしかかってくる。
「あと5Kmもあるのか…」 
この思いを、「あと5㎞でゴールだ」という前向きな気持に必死で切り替えていく。

そして、残り5㎞から34分09秒という時間をかけ、ようやく旧市街北側に位置するゴールに到達。

ネットタイム、4時間07分32秒

久しぶりに4時間を超えてしまったが、今回の状況では、これが精一杯。
むしろ無事に完走できたことを、素直に喜ぶべきかもしれない。

翌日のニュースによると、今回のレースで51歳の男性ランナーがゴール3km前で倒れ、亡くなったという。それを聞くと、生きて帰れただけでも感謝だ。

今回は、過酷なサヴァイバル・レースを経験することができた、という点で、意味があったかもしれない。もちろん一流選手にとっては、このくらいの暑さは朝飯前だろうが、自分のレヴェルでは、まだまだ体が適応し切れない。おそらく今後しばらくの間は、夏の時期や亜熱帯地方など、猛暑が予想されるフルマラソンを走ることはないだろう。


★ゴール近くの公園で水遊びをする子供たち。真夏の暑さが実感できる光景だ。


★しばしの休息の後、道行く人に記念写真を撮ってもらう。


★ライトが点滅する完走メダルと、アート感覚豊かなゼッケン。



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