地上を旅する教会

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【夫婦の関係】「少女と遊ぶなら長野。捕まらないから」 “淫行処罰規定”なし、県が上げた重い腰

2015-01-14 16:11:05 | 今日の御言葉



結婚はすべての人に
尊ばれるべきであり、
夫婦の関係は汚してはなりません。

神は、みだらな者や姦淫する者を
裁かれるのです。

ヘブライ人への手紙/ 13章 04節
(新約聖書 新共同訳)



父母は、愛する子供のために
骨身を削って苦労しながらも、
疲れを知りません。

それくらい子供を愛するからです。

本当の愛は神様から始まり、
また愛は父母から来るのです。

父母は子供が優れているから
愛するのではありません。

子供であればこそ
優れていようが愚かであろうが
愛するのです。

病身の子を持つ親が子供以上に
つらいのと同様に

神様の愛の心情は
皆さんが優れているいない
ということを
超越しているのです。




★「少女と遊ぶなら長野。捕まらないから」
“淫行処罰規定”なし、県が上げた重い腰


■産経新聞 2015年1月12日(月)12時40分配信



全国の都道府県で唯一、淫行処罰規定を含む青少年健全育成条例を制定せずに子供たちの健全育成に取り組んできた長野県が、条例制定をめぐる議論で今、揺れに揺れている。インターネットが急速に普及し、子供たちが出会い系サイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にアクセスすることが日常化し、大人からの性被害に遭うケースが急増しているためだ。これに危機感を抱いた同県の阿部守一知事は、条例のモデルを作成したうえで、議論を前に進めたい考えだ。一方、従来通り条例には頼らずに健全育成運動で対応すべきだとする地元紙・信濃毎日新聞や県弁護士会などは、条例制定反対を主張。一般の県民の間でも意見は賛否両論真っ二つに割れている。


■条例拒み続けた風土


 長野県が青少年健全育成条例を制定してこなかったのは、県民総ぐるみの運動で子供たちの健やかな成長を見守るとしてきた伝統があるからだ。「脱ダム宣言」などで県政を混乱させた田中康夫元知事も含め、歴代知事は「青少年健全育成条例は制定しない」と明言してきた。こうした気風は、警察権力の拡大に反対する共産党県議団などにとどまらず、保守的立場をとる自民党県議団の県議の間にも根強い。条例がないことを、県政界があたかも長野県の「美徳」や「誇り」にしているかのようだ。

 風向きが変わったのは、県内77市町村で唯一、淫行処罰規定を含む青少年健全育成条例を制定した東御(とうみ)市で平成24年、男性教諭2人が相次いで同条例違反(みだらな性行為などの禁止)容疑で逮捕される事件が起こってからだ。県警が「条例がなければ現行法だけでは摘発できなかった」との見解を示したことから、県も同様の条例を制定すべきだとの議論が巻き起こった。それまで条例制定に慎重な姿勢を示していた阿部知事も、子供を取り巻く環境の変化という現実を突きつけられ、「今の対応だけで本当にいいのか考えていく必要がある」と、条例制定も含めた対策を検討する考えを表明した。

 そして、阿部知事は25年5月、法律やインターネット、子供の成長に関わる専門家らで構成する「子どもを性被害等から守る専門委員会」(委員長・平野吉直信州大教育学部長)を設置。子供を性被害から守るための施策の検討が始まった。


■条例制定に傾いた専門委


 あえて白紙の状態からスタートした専門委の議論は当初、条例制定に慎重な意見が多かった。しかし、県内で過去15年間に18歳未満人口当たりの性被害にかかわる摘発者数が3・8倍も増加し、全国平均(1・6倍強)より深刻さが際立つ実態が報告されたことや、子供たちを取り巻く現状について各種団体などから聞き取り調査を行ったことで、議論の風向きは変わっていった。

 25年12月の第5回会合では、幼い頃に知人男性から性被害を受けた女性が報道陣に非公開で証言に立った。事務局によると、女性は「こんなことになったのはずっと自分が悪いと思い込んで、周囲に相談できないまま悩み続け、体調を崩すこともあった」と明かした。そして、委員らに対しては「子供の成長を大人が阻害しないでほしい」と訴えかけ、子供の性被害防止のための条例制定を求めたという。これを受け、専門委の議論は法的規制が必要との意見に傾いていった。


■条例制定を批判する信濃毎日新聞


 一方、専門委の議論を報じる長野県の地元紙・信濃毎日新聞は「条例化だけが先行している」「淫行処罰規定によって青少年の自由な恋愛に捜査機関が介入する可能性もある」「条例に頼らず県民運動で青少年健全育成を進めてきたこれまでの努力に逆行する」などと批判する論調を強めた。

 これに対し、専門委で証言した女性は事務局宛に反論の手紙を送付。26年1月の第6回会合では「『条例が独り歩きしている』という報道の扱い方に、自分は何のためにあの場面で発言したのか、結果、分からずにいます」などと苦しい胸の内を吐露した女性の手紙が、事務局によって読み上げられた。

 しかし、この会合を報じた翌日付の信濃毎日新聞は、女性の手紙の内容には一切触れなかった。それどころか、「条例制定を前提とした検討の進め方は、全国で唯一、処罰で押さえ込む発想の条例を持たない長野県民の取り組みを否定することにもなる」「公権力の介入を伴う条例の制定に歩を進めている専門委の現状は危うい」などと相変わらずの主張を展開した。

 県弁護士会の主張も基本的には同紙と同じだ。専門委が開いた公聴会で、県弁護士会子どもの権利委員会の上條剛弁護士は「(法規制は)児童買春禁止法や児童福祉法などで十分だ。淫行処罰の規定は曖昧で、捜査する警察のさじ加減一つで冤罪(えんざい)も生まれる」と意見陳述し、条例制定に反対した。


■建前だけでは防げない


 専門委は26年3月、検討を行ってきた結果として、「淫行処罰に限った限定的な条例が必要」とする報告書を阿部知事に提出した。その中で、専門委は判断能力が成熟していない子供への真摯(しんし)な恋愛ではない大人の性行為は「許されざる行為」と断じた。

 また、青少年健全育成運動を中心になって進めてきた「県青少年育成県民会議」も同年4月、内部に検討チームを設置して運動の抜本的見直しに着手した。設立から40年余りがたつ中で子供を取り巻く環境が大きく変化し、運動の形骸化が指摘されてきたためだ。約4カ月間の議論の末、検討チームも子供を大人による性被害から守るためには「(新しい県民運動と)条例との両輪の上に、県民の自主的な活動や行政的な対応が必要」として、淫行処罰規定を含む条例の制定を求める報告書を阿部知事に提出した。

 今は携帯電話やゲーム機など保護者の目が届かないところで、子供が簡単にインターネットに接続することができる時代だ。大人が悪意を隠して近づき、好奇心をくすぐって子供を思うように操ることは難しいことではない。専門委も県民会議もその現実を目の当たりにし、大人のゆがんだ欲望から無防備の子供たちを守るには、建前だけの運動では不可能なことを感じ始めたわけだ。


■大人の欲望に無防備な子供たち


 26年9月定例県議会で、山崎晃義(てるよし)県警本部長は、県警が25年1月から26年10月末の間に子供の性被害16件19人を認知したにもかかわらず、現行法では検挙できなかったため、「行為者に対して道徳的な観点からの指導、説諭にとどめざるを得なかった」と明かした。

 インターネット上ではいま、「10代の女の子と遊びたいなら、長野へ行けばいい。警察に捕まらないから」という趣旨の書き込みが横行しているという。「条例は未成年の真摯な恋愛に公権力が介入することを許す」という信濃毎日新聞や県弁護士会などの主張は、大人による子供の性被害が急増している実態から目を背けた議論としか言いようがない。「権力は法律を使って常に人民を抑圧する」という時代錯誤的な思考が、その根底にあるのではないだろうか。

 さらに、「恋愛なら子供の性行為も許される」という考え方も注意が必要だ。狡猾(こうかつ)な大人が精神的に未成熟な子供に「性行為のないところに恋愛はない」と言い聞かせて、新たな性被害を生みかねない危険性をはらんでいるからだ。

 刑法や児童買春・ポルノ禁止法、児童福祉法といった現行法だけで処罰するには、(1)行為者自身が被害者の年齢が18歳未満であることを知っている(2)性行為などを行う前に金品のやり取りやその約束をしている(3)行為者が親、教員、会社の上司など被害者に対して事実上の影響力(支配性)がある-という要件が立証されなければならない。

 つまり、淫行処罰規定を含む青少年健全育成条例がなければ、これらの要件を立証できない子供の性被害は防止できないのだ。その手立てを持たない長野県で、子供たちは性被害から無防備な状況に置かれている。建前の精神論で子供たちの健全育成を図れるならそれに越したことはないが、現実には子供たちが大人たちのゆがんだ性欲の対象とされているのだ。


■現実を直視した議論を


 また、子供たちの性被害と自由恋愛を同列に議論すべきではない。「自由な恋愛を守るために、性被害から子供たちを守る条例は必要ない」という主張はバランスを欠いている。自由な恋愛を守る代償として、子供たちが性被害に遭っても仕方がないと言っているようなものだ。淫行処罰の条例があっても、自由で健全な恋愛は十分成り立つ。

 幼い頃に受けた性被害は、筆舌に尽くしがたい苦悩を与え、その後の人生を左右しかねない。その重大さを考えれば、あらゆる手段を使って子供たちを性被害から守る必要性があるし、そうした仕組みを早急に構築すべきだ。

 県青少年育成県民会議常任理事として条例によらない健全育成運動の先頭に立ってきた田口敏子さんは「条例は必要ないといいたいが、今の子供たちが置かれた状況をみると、そうはいい切れない。忸怩(じくじ)たる思いだ」と語る。

 子供の性被害を防ぐには、建前の精神論や見栄(みえ)ではなく、現実を直視して具体的な対策を考える議論が必要だ。長野県には今、それが求められている。(長野支局 太田浩信)



▲淫行処罰の条例制定の必要性を盛り込んだ
県民運動の見直し検討報告書を長野県の阿部守一知事(右)に
提出する青少年育成県民会議の田口敏子検討チーム座長
=平成26年8月29日、長野県庁(写真:産経新聞)