空飛ぶ自由人・2

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『ぼくらの選択/雄志篇/虎穴篇/天命篇』

2022年07月21日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

青山繁晴氏は、1952年生まれの69歳。
早稲田大学政経学部卒。
共同通信記者、三菱総研研究員を経て、
シンクタンク独立総合研究所を創設、
2016年参議院議員になり、
議員集団「日本の尊厳と国益を護る会」の代表。


この本は、「月刊Hanada」に
2017年10月号から2022年5月号まで連載したものを
単行本化。
この6月に3冊同時発売された。
各巻422ページ、437ページ、429ページで、
計1288ページの大著だが、
各巻1500円と安い。
一気に読んだ。

青山繁晴という人は、
時々テレビのインタビューで、
本質をついた正しいことを言う人、くらいの認識だったが、
この3冊の本を読んで、驚倒した。
こんな気骨のある、世界と日本を正しく認識している国会議員がいたのか
と希望を新たにした。

自分を「物書き」と自認する氏は、
議員に立候補せよという要請を断り続けてきたが、
ついに、安倍元首相からの
「青山さんが来れば、外務省が、経産省が、自民党が変わる」という言葉に翻意。
6年前の参議院議員選挙に比例代表として立候補。
48万1890票を獲得して当選した。
議員になってから後も、政治献金を1円も受け取らず、
政治資金集めのパーティーも開かず、
後援会は作らず、従って後援会長もいない。
選挙のために活動するのではないからだ。
団体支援もお断りし、
派閥にも属さず、
独立した立場で議員活動をしている。
地元も作らない。
憲法が定めるとおり、
特別職の国家公務員である国会議員はた
全体の奉仕者であるべきだからだ。

その代わり、誰に遠慮することも、
指示を受けることもない。
国会議員とは命も要らぬ、金も要らぬ、
地位も要らぬ、虚名も要らぬの仕事であるから、
当然のことに過ぎない。

という。
その背景は、主権者たる国民から
委託を受けて、国会で議論する立場ということで、
頭を下げるのは、ただ、主権者たる国民だけ、ということを貫いている。

出張も自費で賄い、
度々アメリカに出かけ、政治家、軍人と
通訳なしで会話をしている。

「護る会」は、
皇位継承を父系一系によって安心させること、
中韓による国土の侵蝕を阻むこと、
スパイ防止法を成立させること
という3本柱を立てている。
旧来の派閥とは異なり
権力争いには一切、関わらない。
おカネも全く動かない。
他の議連が長老議員を最高顧問、顧問として
頭にのせることとも違い、その慣習は採らない。

なにしろ大部であるから、要約は難しいが、
要点は、
日本が日本としてあるべき姿を貫き、
国民を守る規定のない憲法改正をすべきだ
ということだ。
敗戦後の祖国が見失ったままの
国家の理念、国家の哲学を模索する。
従って、中国やロシアの専横には、
厳しい目を向ける。
更に、左寄りのメディアを「オールドメディア」と呼んで、
鉄槌を下す。

以下、めぼしい論を抜粋する。

集団的自衛権とは、
第二次世界大戦後に
平和を守るための最も基本的なノウハウとして確立し、
国際法の中心を成すものだ。

憲法改正は、時代と共に変化させるのは当然で、
96条には、憲法改正の規定がある。
にもかかわらず護憲を言う人は、実は憲法の規定に反しているのだ、と言う。

オールドメディア、特に朝日新聞は、
安倍政権を目の敵にする。


理由は明白だ。
改憲を目指す政権は
どんな手段を使ってでも倒したい。
それが朝日新聞にとっては正義なのだ。

安倍首相を攻撃するためのモリ・カケの国会審議を
「冤罪」「国会の闇」と断じ、
そのために、毎日3億円もかかる国会運営を嘆く。

そして、憲法改正を主張する。

日本国憲法はその百三条に及ぶ長大な条文のうち
9条一箇所にしか、
国民をどう護るかの定めがない。
その九条は、自国民を護る手段を全て悉く否定し尽くしている。

ただし憲法改正は、一度運用を誤れば、
国民投票で否決されかねない。
9条改正について、青山氏は瞠目するような提案をする。
自衛隊を固定化するよりも、
9条に第3項として、「本九条は自衛権の発動を妨げない」
という一項を付け加えるとしたのだ。
これなら国民投票で賛同を得られるだろう案だ。
これを受けて自民党の憲法改正案は
「自衛の措置を妨げない」と取り入れた。
しかも、欄外に「注」として、
「自衛の措置とは自衛権の発動である」と書き込まれている。

日本には、西洋の多数決の民主主義ではなく、
日本オリジナルの「民が主である」という民主主義がある。
それが天皇で、
天皇陛下は、民の幸せを祈る存在。
日本書紀には仁徳天皇の「民の竈」の話があるが、
それが神話であれ、
その理念が日本書紀に明示してあることは否定のしようがない。

(日教組について)
教育が国際社会の常識からかけ離れる。
祖国を貶めることこそ熱心で、
生まれた国という、誰にもかけがえのない土台を愛することは教えない恐るべき教育、
諸外国では想像もされない教育が日本の子どもたちに降り注ぐ。

初等教育で祖国を愛することを
人間の基本として教えることがないのは、
わたしが足で回ってきた世界で、
日本ただ一国である。

(外国人労働者に頼るのは反対)
われらの同胞(はらから)の就職氷河期世代の人々、
そして武漢熱クライシスで内定を取り消された若者たち、
引き籠もりと呼ばれる人々、
さらに女性と高齢者、
この日本国民が働きたいだけ働けるのが最優先でなければならない。

(中国について)
中国は、どれほどカネを使っても
世界の覇者やリーダーになることはないと、
わたしは長年,指摘してきた。
なぜか。
中国が普遍的な価値を持たないからだ。

中国はその永い歴史で、
ただの一度も自由と民主主義を国民にもたらしたことがない。
もしも中国が民主主義を導入すれば、
広すぎる国土、多すぎる人口、多すぎる異民族を
コントロールすることは不可能だ。
独裁しかないのである。

中国共産党の宣言は
ただただ、漢民族が世界を支配するという妄執、
いや、それに見せかけた習近平国家主席の個人的欲望の宣言である。

共産党支配の中華人民共和国が
世界の厄災であることに
疑いを持つ国やひとびとは
今や、ない。

次の記述は震えを覚える。

2020年8月、
ドイツの連邦憲法擁護庁が発した警告。
「中国に進出してきたドイツ企業はほぼすべて
ゴールデンスパイによって
中国に情報を窃取されている恐れが強い」
ゴールデンスパイとは何か。
中国は国内へ進出してきた外国企業に
特定の税務ソフトをインストールするよう求めている。
その2時間後、
知らないうちにスパイウェアが勝手にインストールされ、
情報が流出する仕組みだという。

また、沖縄を中国のものにするために、
沖縄でした中国の秘密会議の議事録も背筋が寒くなった。

プーチンと習近平との共通点を上げ、
それに金正恩を加え、こう書く。

人間の歪みをとことんまで煮詰めたような現代の独裁者三人が
(日本の周辺に)揃っている。
この恐るべき東アジアにおいて、
「人のために生きる」という
国家理念を天皇陛下と共に育んできた
日本という存在が、
どれほど人間の救いであるか。

自前の資源としてのメタンハイドレート
活用を推奨する。
このメタンハイドレート、以前から話題になっているのに、
なぜ進まないのだろう。
石油利権のある何者かが邪魔しているのだろうか。

青山さんは、議員に当選しても、
国会の悪しき習慣に染まらなかった。
先方からやってくる政治献金も要らないといった。
これも先方から言って来る、支援団体の申し入れも断った。
もしそうすれば、借りが出来、その団体の利益代弁者になってしまうからだ。
当選議員が先輩たちのやり方を習って、
そうした「しがらみ」の罠に染まっていくことから自由であったのだ。

わたしは幼い頃、
主として母から、
時代錯誤そのものではあるが
武士道教育を受け、
「おのれを売り込まない」
ことが背骨の一個になっている。

青山さんは、先の参議院議員選挙で再選を果たした。
任期は6年ある。
「護る会」の74人の国会議員と共に、
これからの議員活動に期待したい。

 



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