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映画『キャメラを止めるな!』

2022年07月20日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介] 

上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」(2017)のリメイク。
4年前に観た時、
これはアメリカでリメイクささるかもしれないな、
と思ったが、
何とフランスでリメイク
しかも、「アーティスト」(2011)でアカデミー賞の作品賞、監督賞を取った
ミシェル・アザナヴィシウスが監督!
フランスNo.1の人気を誇るロマン・デュリスや、
カンヌ国際映画祭女優賞のベレニス・べジョが出演するというのだから、
只事ではない。
オリジナルが無名の監督、俳優たちによる
低予算の半分自主製作映画だったのに対して、
大きな違いだ。
つまり、日本の映画が
映画発祥の地、フランスで大出世を遂げたのだ。

一体どんな風にリメイクされているか、
期待満々で鑑賞。

驚いた。
オリジナルほとんどそのまま
舞台となる建物と俳優と言語が違うだけ。
混乱の原因である、監督とメイク係の交通事故、
窮余の策としての監督とその妻の代役
アル中の俳優の飲酒、
硬水のミネラルウォーターを飲んでしまったための下痢、
等、一つの違いもなく、オリジナルのまま。
リメイクに際し、オリジナルを変えない、という
契約でも交わしたのではないかと勘繰るくらい。

しかし、たとえば、「42テイク」が「31テイク」になっていたり、
なんちゃって護身術の「ポン!」が本格的護身術になっていたり、
カメラマンのベルトが柱の突起にひっかかって、
役者を追えなくなってしまったり、
カメラマンの動けなくなる原因が倒れただけでなく、腰痛であったり、
映画に音楽を同時に付ける音楽家がいたり、
降りようとする若い俳優にエージェットからメールが来て、
「契約違反になる」と警告されたり、
などと違う場面があるのだから、
一切改変を許さないという契約ではなかったのだろう。
それどころか、
噛まれて感染したと思っていた足の傷がただの汚れだった、というくだりや
頭に斧を乗せたメイク係が
目をさまして「何、あれ」と言うセリフさえカットされている。
壊れたクレンーに代わる人間ピラミッドを見たという
伏線になるのだが・・・

日本でヒットした映画をリメイクする、
というくくりになっていて、
日本から派遣されてきた女性プロデューサーとのやり取りが
付け加わっており、
それはそれで元にはない要素で面白い。


その役を演じた竹原芳子は、
オリジナルでも特異な風貌で、
「こんな顔の人がいるんだ」と、
目を奪ったが、
フランス版でも存在感を示す。
カンヌのレッドカーペットまで行ってしまったので、
俳優としては本望だろう。

しかし、リメイクというものは、
その国の事情に合わせるだけでなく、
新たなアイデアや工夫が施されるものだと思うが、
その形跡はほとんどない。

ということは、オリジナルの脚本が精緻にすぐれていたということか。
それにしても、創作に従事する者として、
新たなアイデアが一つも沸かなかったのか?

と、映画の進行により、
ほとんど同じ、という驚愕に支配。
映画としても面白くなかった。

鑑賞後の感想は、
やはり、この作品のようなワンアイデアのものは、
リメイクしても駄目なのか、と思った。

で、帰宅後、
Netflixでオリジナルを再見した。
面白い。
笑える。
ああ、この映画は、
いろいろなものがうまく働いて化学反応を起こした
奇跡の映画だったのだな、
と再認識した。

5段階評価の「3」

アメリカでリメイクしたら、どうなるのだろう。

 



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