空飛ぶ自由人・2

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映画『リアル・ペイン~心の旅~』

2025年03月05日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッドとベンジーは、
従兄弟同士。
兄弟同然に育った二人だが、
最近は、忙しくて疎遠になっていた。
しかし、亡くなった祖母の遺言で、
祖母の故郷・ポーランドへの旅行に参加する。
現地集合したツアーのメンバーは、
定年退職を迎えた夫婦、
最近離婚された女性、
ルワンダの虐殺を生き延びて、
ユダヤ教に改宗した黒人、
それに従兄二人。
全員ユダヤ人だ。


イギリス人のガイドと共に旅する7人は、
ナチスと戦った人々の記念碑を訪れ、
強制収容所を訪ね、
ホロコーストという現実に目を向けざるを得ない中、
次第に理解と共感を深めていく。
そして最後に二人はグループを離れ、
昔祖母が住んでいたという家を訪ねるが・・・

アメリカで生まれ育った青年にとっては、
ポーランドなど、関心がなかっただろうが、
現地では、ユダヤ人への迫害の歴史が迫って来る。
自分たちのルーツを辿る旅は、
“リアル・ペイン”(本当の痛み)を伴うものだった・・・

デヴィッドとベンジーは正反対な性格で、
思ったことをすぐ口に出し、
周囲を振り回すタイプのベンジーは、
生きづらさも抱え、マリファナを常用している。
デヴィッドも、精神安定剤を服用しながら生きている。
旅を巡り、それぞれの生きづらに向きあう力を見いだしていく。
デヴィッドとベンジーのやり取りは軽やかで時にユーモアがあり、
物語に親しみを感じさせてくれる。
ホロコーストの悲劇は直接描かず、
全体的にコメディタッチで描いている。

製作・監督・脚本・主演は
「ソーシャル・ネットワーク」(2010)でマーク・ザッカーバーグを演じた
ジェシー・アイゼンバーグ
ホロコーストにより迫害された叔母が住んでいた
小さな家を訪れた経験を映画の中に取り込んだ。
ショパン空港、ゲットーの英雄記念碑、
蜂起記念碑、ルブリン強制収容所などを巡り、
背後には、ショパンのピアノ曲が流れる。
ほぼポーランド人スタッフだけで製作が行われている。
強制収容所のスタッフは、
撮影不可能と思われていた状況を覆し、
現地での撮影に協力したという。

デヴィッドを演ずるのは、ジェシー・アイゼンバーグ。
従兄のベンジーはキーラン・カルキン。(マコーレー・カルキンの弟)。
先のゴールデングローブ賞とアカデミー賞で
助演男優賞を受賞。
アイゼンバーグ自身も脚本賞にノミネートされている。

空港で始まり、
空港で終わるカメラワークがセンスを見せる。

人生で、一度は、こういう旅が必要だろう。

原題「A Real Pain 」は、「本当の痛み」の他、
「面倒なやつ、困ったやつ」といった意味。

5段階評価の「4」

拡大上映中。



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