昨日はアカデミー賞の授賞式。
アメリカ時間では3月2日、日曜日の夜です。
いつもは、当日ブログに載せるのですが、
一日遅れになったのは、
毎年生放送していたWOWOWが、
今年はしなかったからです。
かつ、いつもは当日の夜、字幕版を放送していたのが、
翌朝、配信のみでするとのこと。
ある人が問い合わせたら、
「契約が終了したから」とのこと。
継続は出来なかったのでしょうか。
何か難しい契約条件でも突きつけられたか。
と思っていたら、NHK--BSが生放送を実施。
増々契約条件が気になります。
というわけで、ブログに載せるのは、
字幕版を観てから、ということで、
今日になりました。
今ロサンゼルスは山火事の被害で大変。
一時は授賞式の中止も考えたそうですが、
困難な時ほど開催する意義がある、と、実施。
「オズの魔法使い」のドロシーの靴で始まったオープニング映像も、
LAへの愛があふれるものとなりました。
「オズの魔法使い」のテーマは「やっぱり家が一番」ですからね。
映像の後は、アリアナ・グランデの「虹の彼方に」の歌唱で始まり、
シンシア・エリヴォの「HOME」(「ウィズ」より) につながり、
最後は二人のデュエットを含む
「Defying Gravity 」( 「ウィキッド」より) へ。
アメリカ人の国民映画「オズの魔法使い」つながりです。
歌が終わると舞台監督が司会者の楽屋のドアを叩き、
出演を知らせます。
中では、「サブスタンス」のデミ・ムーアの
体の中から出て来た司会者が
靴を探して、再び体内へ。
などという悪趣味な映像の後、
司会者がステージに登場。
今年の司会は、コナン・オブライエン。
コメディアンや司会者として人気の人。
ちょっとロビン・ウイリアムズに似ている。
政治ネタや人種ネタもない、
毒のない司会者ぶり。
恒例の候補作紹介などし、
受賞スピーチが長引いた場合は、
ジョン・リスゴーのうんざり顔に切り換える、
などとのジョークの後、
それでも駄目だったら、
若い時の宣伝写真を公開するぞ、
などと脅し、まず、ガイ・ピアース↓。
ティモシー・シャラメに至っては↓。
普段着で来たアダム・サンドラーをいじった後、
歌とダンスに移行。
芸達者だね。
歌は「I Won't Waste Time」(「時間を無駄にしない」)。
会場は、もちろんドルビーシアター。
授賞式は、助演男優賞から。
今年の趣向は、5人の候補者の姿を吊り下げ、
プレゼンターが一人一人について論評を加える。
映画シーンの抜粋はなし。 下馬評通り、「リアル・ペイン~心の旅~」のキーラン・カルキン。
アカデミー賞を取ったら、
3人目の子供を作る約束と暴露。
長編アニメ賞はラトビアの作品。
短編アニメ賞はイランの作品。
アメリカ、どうした。
衣裳デザイン賞でも新趣向。
5人のプレゼンターが登場し、
候補者それぞれを紹介。
こういう技術部門の候補者を全員紹介するのは、初めてか。
撮影賞も同じ趣向でした。
衣裳デザイン賞の受賞者は、黒人初だという。
今回は主題歌賞の歌唱はなく、
様々な趣向の音楽パフォーマンス。
まず、ボンド・トリビュート・パフォーマンス。
歴代の007の映像つなぎの後、
テーマ音楽をダンスで。
「死ぬのは奴らだ」からと
「ダイヤモンドは永遠に」からと
「スカイフォース」の曲を歌唱。
このショー部分が最も充実していました。
オリジナル脚本賞で、
「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカーが受賞し、
編集賞でもショーン・ベイカーが受賞。
この人、編集もやるんだ。
助演女優賞は、
「エミリア・ペレス」の
ゾーイ・サルタナが受賞。
「私の祖母は、1961年に、この国に来ました。
私は誇り高き移民の子です。
夢とプライドを胸に努力を重ねて来ました。
ドミニカ系アメリカ人として、初のアカデミー賞受賞。
私に続く受賞者が現れると信じます。
祖母がここにいたら、大喜びしているはず」
歌曲賞のプレゼンターは、なんとミック・ジャガー。
一番目のオファーはボブ・ディランだった、
というのは、ジョークか。
受賞したのは、「エミリア・ペレス」の「El Mal 」。
山火事に関連して、消防隊の紹介。
拍手鳴りやまず。
1年間の亡くなった方への追悼は、
1週間前に亡くなったジーン・ハックマンを特別に。
続いて、モーツァルトの「レクイエム」に乗せて、
次々と物故者の顔写真が。
最後は、やはりジーン・ハックマンでした。
クインシー・ジョーンズの追悼では、
クイーン・ラティファが「ウィズ」の曲を。
ノミネートされた日本の3作品、
レイプ事件を被害者自身が映画化し、
長編ドキュメンタリー賞候補になった
「Black Box Diaries 」、
日本の小学校の音楽教育を扱って、
短編ドキュメンタリー賞候補になった
「Instruments of a Beating Heart」、
短編アニメ賞候補になった
「あめだま」
は、いずれも受賞を逃しました。
最後の佳境に入り、
主演男優賞は、
「ブルータリスト」のエイドリアン・ブロディが
「戦場のピアニスト」に続き、2度目の受賞。
ステージに向かう途中、
噛んでいたガムを放り、
奥さんがキャッチ。
途中かかった音楽を止めての長いスピーチ。
「俳優というのは、とても不安定な職業です。
何年やっていても、どれだけ成功していても、
消える可能性がある。
それを自覚しているからこそ
今日は特別な日です。
愛する仕事を続けられることに感謝します。
このような賞を受賞することは、一つのゴールだと思います。
でも私にとってこれはキャリアの頂点以上のもので、
また演じられるチャンスを意味します。
そしてこのチャンスがこの先20年続くことを願います。
私が意義ある役に値いする役者だと証明したいと思います」
長かったですが、
ジョン・リスゴーの顔には切り換えられませんでした。
監督賞は、
「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカーが受賞し、
今夜3回目の登壇。
「今日、ここに集まったのは、
映画が好きだからです。
どこで好きになったか?
もちろん映画館です。
私は5歳の時、母が映画を教えてくれました。
みんなで映画を観るのは、素晴らしい経験です。
一緒に笑ったり、泣いたり、打ちのめされたり。
家では味わえない共同体験です。
今、映画館は危うい状態で
特に独立系の映画館は苦戦しています。
パンデミックで1000近くのスクリーンを失い、
今も減り続けています。
何とかしないと、文化の一部を失います。
支えるのは、私たちです。
お願いです。
劇場用の映画を作り続けて下さい。
配給会社の皆さん、
まずは、劇場公開に集中して下さい。
親御さんは、子供たちを映画館に連れて行き、
次世代の映画愛好者を育てましょう。
それから、私たちも映画館に行きましょう。
映画を作り続けていきましょう」
主演女優賞は、
「ANORA アノーラ」のマイキー・マディソン。
この人、映画出演歴は端役で5作ほど。
ほぼ新人にオスカーを与えるのですから、
アカデミーの会員はふところが深いですね。
「私はLA育ちですが、
ハリウッドは遠い存在でした。
それが今、ここに立っているなんて信じられません。
セックスワーカーの皆さんにも敬意を表したいと思います。
これからも支援し、味方でいるつもりです。
私は彼女たちを知ることが出来て、幸運でした。
この出会いは貴重な体験の中でも
最高の宝物と言えます」
「セックスワーカー」などという言葉、初めて聞きました。
日本で言えば「風俗嬢」でしょうか。
作品賞のプレゼンターは、
メグ・ライアンとビリー・クリスタル。
ビリーは「昔、ここで働いたことがある」と。(知ってます)
そして、2024年最高作は、「ANORA アノーラ」に。
プロデューサーの一人のスピーチ。
「600万ドルの低予算で製作しました。
NYロケのスタッフ40人ほど。
インディーズ作品に携わる人は
是非続けてほしい。
もっと世に出そう」
製作に名を連ねるショーン・ベイカーは、
今夜4回目の登壇。
「インディーズ作品を評価して下さり、感謝します。
みんなの血と汗と涙で作られました。
インディーズに末永く幸あれ」
まさに「ANORA アノーラ」旋風が吹き荒れた終盤でした。
結果として、
「ANORA アノーラ」が作品賞・監督賞・主演女優賞・
オリジナル脚本賞・編集賞の主要5部門を制覇。
「ブルータリスト」が主演男優賞・撮影賞・作曲賞の3部門、
「エミリア・ペレス」が助演女優賞・主題歌賞の2部門、
「デューン砂の惑星 PART2 」が視覚効果賞・音響賞の2部門。
「リアル・ペイン~心の旅~」「教皇選挙」「サブスタンス」が1部門の受賞でした。
今年は「第97回」。
あと3年で「100周年」。
それまでは生きていましょうか。
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