[映画紹介]
先月公開された「PS-Ⅰ 黄金の河」の続編。
インドでは、前編は2022年、
後編は2023年に公開されたが、
日本では、5月6月と、1か月の間隔で、続けて公開。
インドの伝説的な歴史小説
「ポンニ河の息子」(Ponniyin Selvan つまり、「PS」)
を前後編で映画化。
10世紀、インド南部、タミル地方に実在した
チョーラ王朝の宮廷を舞台にした
愛憎と陰謀、国の存亡を懸けた戦いの物語。
前編のラストでは、弟のアルンモリ王子が海の藻屑と消え、
その訃報は、国全土に広まり、王国は悲しみに包まれた。
しかし、アルンモリは、何度も彼の窮地を救ってきた
謎の老婆に助けられ一命をとりとめていた。
そして、アルンモリと再会した長兄・アーディタと長女・クンダヴァイは、
密使の騎士デーヴァンにより、
王朝転覆の黒幕と計画の全貌を知る。
老王のもとに刺客が送られると共に、
アーディタは、計画を裏で操るナンディニの誘いに乗って、
その牙城に赴き、罠に自らかかり、
アルンモリにも刺客が放たれる。
王国に迫る最大の危機を三人の兄弟はどうやって乗り越えるか・・・
前編と違い、戦争シーンは最後だけで、
主に、愛憎渦巻く登場人物の数奇な運命を描く、
より重厚な人間ドラマが描かれる。
謎の老婆の正体、老王との過去だけでなく、
ナンディニの出生の秘密も明らかになる。
アーディタの苦悩はシェイクスピアのようであるし、
最後のくだりは、ギリシャ悲劇のよう。
登場人物の想いが伝わり、
胸が熱くなる人間ドラマだ。
俳優たちも難しい役どころを演じ切り、
インド映画陣の層の厚さに驚かされる。
しかし、相変わらず、顔の区別がつかないが。
また、映画における音楽の重要性も改めて知らしめてくれる。
(音楽はオスカー受賞者A・R・ラフマーン)
監督・共同脚本・共同製作はインド映画の巨匠マニラトナム。
5段階評価の「4」。
新宿ピカデリー他で上映中。
私が観た市川妙典の映画館では、がら空きだった。
娯楽に徹した、こんなに面白い映画なのに。
しかし、10世紀といえば、
日本での平安時代に当たる。
さすがに関心がないか。
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