徒然映画日記。

食わず嫌いは卒業し何でも観よう。思い切りネタバレありの「観た帳」です。

ハサミを持って突っ走る

2008年03月31日 | ★★★★



ハサミを持って突っ走る
おすすめ度
原題:RUNNING WITH SCISSORS
製作:2006年 アメリカ(日本未公開)
製作:デデ・ガードナー ブラッド・グレイ ライアン・マーフィー ブラッド・ピット
監督:ライアン・マーフィー
原作:オーガステン・バロウズ
脚本:ライアン・マーフィー オーガスティン・バロウズ
出演:ジョセフ・クロス アネット・ベニング アレック・ボールドウィン ブライアン・コックス

オーガステン・バロウズの自叙伝的小説を映画化したコメディ作品「ハサミを持って突っ走る」です。

アルコール依存症の父と、繊細な心を持つ詩人の母と暮らしていたオーガスティン。諍いが絶えない両親は遂に離婚することになります。そんなある日、母は突然育児放棄します。残されたオーガスティンは母のカウンセラーをしているドクター・フィンチのもとに預けられます。そこに待ち受けていたのは、乱雑にちらかったピンクの家で暮らす奇天烈なな家族たちでした。

強烈な作品でした。まともな人がほとんど出てきません。
これが実体験に基づくお話だってことが、「人生は驚きに満ちている」って感じでした。

アル中の父。
精神不安定な母。
風変わりなドクターフィンチ。
片付けられない女、フィンチの妻アグネス。
父を崇拝する娘ナタリー。
愛していた男から出してもらった大学費用を実父に使い込まれてフィンチの家に養子に出されたホープ。
フィンチの患者で養子の少年性愛者二ール。

みんな間違いなくド変人。でもどこか憎めないから不思議です。

ある日突然生活環境が変わり、パンチの効いた人間に囲まれて生活することを強いられた、弱冠14歳のオーガスティン。フィンチの家では誰もオーガスティンに何もいいません。門限もない、勉強しろとも言われない。「自由」なことに「不自由」を感じ不安になる、居場所が見つけられない。すごく切ないですね。それでも彼は自分を見失わず何とか現状を打破しようともがくんですね~。

あと、アグネスの生き方が切ないんですよね。一生懸命働いてフィンチの学費を作り、いざ医者になってもちっとも生活が安定しない。彼女なりに一生懸命家族を守ろうと必死なのに、報われない。

雑然としたキッチンにオーガスティンが来て涙を浮かべて「グラタンを作って」っていうシーン、たまりません。素直なオーガスティンは無意識にアグネスの心をとかしていくんですね。っていうか、オーガスティンも「母親」を求めていたんですね。

暗~い過去を背負った人たちが繰り成す不条理エピソード満載の作品ですが、観た後妙なすがすがしさを感じてしまいました。

ハサミを持って突っ走る@映画生活
前田有一の超映画批評



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