『新世界より』 貴志祐介
どこかで読んだ書評を頼りに予約したところ、届いたのは…
枕かと思うぐらいの大物でした。
貸し出し期限も3日後に迫り、これは見なかったとことにして
もう一回予約し直そうかとも思いましたが、新年早々つまづくのも
今年の行く末を暗示しているようで…
物凄い分厚さとは裏腹に、面白くてスイスイ読めてしまいました。
そうは言っても、初めの方は未来の生物学の教科書のようで
未来の生き物を想像するのはなかなか手強かったです
舞台は日本の関東地方のとある町、
呪術を自在に操ることのできる人間たちが生きる未来の話で…早い話が、皆が陰陽師というような状態です。
呪術を操るようになるには徹底した管理の下、
学校に通い、教育を受け、訓練を積み重ね
(もちろん得意不得意の技も出てくるわけですが…)
と同時に、人間が人間を殺めることは絶対悪
などということを徹底して教え込まれていきます。
過去の文明の失敗を受け継がないという
教訓から来た事ではあるのですが、異常に厳重な書物の管理。
そして、いつの間にか姿を消す級友。あるとき、好奇心旺盛な子供たちが結界の外で
バケネズミに遭遇したことをきっかけに、均衡を保っていた世の中の
バランスが徐々に崩れ始め、悪鬼によって町は壊滅の危機に瀕します。
悪鬼から逃れる手段を求めて、バケネズミ・悪鬼との攻防を繰り広げながら
ずっと昔に壊滅した【東京】の廃墟へ向かう かつての子供 早季たち。
【東京】が過去の文明になった理由とは?
バケネズミの正体は?
悪鬼は本当に悪鬼なのか?
結末は如何に???
手に汗握る、枕サイズの読書でした。
今の文明が滅びた後の世界を描いている作品なのですが
『本当にそうかも』と思わせる妙な説得力があり、
久しぶりに時間を忘れて読み耽る1冊でした。一番怖いのは人間…しみじみそう思いました。
貴志祐介の本は『黒い家』と『ISOLA』しか読んだことが
ありませんでしたが、かなり分厚いことを除けばお勧めの1冊です。
分厚過ぎて本の真ん中が開きにくく、手首で本の角度を変えながらの
読書になったせいか、只今、軽く筋肉痛でございます。
後で知ったのですが、上下に分かれた文庫本も出ているようです。
満足度:
↑
映像化して欲しいぐらいの気分ではありますが
ラストの【東京】探検のあたりは見たくないかも