新作 ～ 「レジナルド氏の憂鬱月」 １２

ども、お今晩は～。

しまった、他のあれこれで忙しくて、
お茶菓子前の塩コンブのネタ探すの忘れてました。

というわけで、ま、いいですよね、
今日のお茶菓子、続きをどーぞ～。



2014年2月1日～ブログ直接投稿　「レジナルド氏の憂鬱月」その１２

　　うん・・・　この子を助けてほしいんだ
　　僕の不注意で　空から落としちゃって
　　ハトは弱々しく　天使に言った
　　素敵な奥さんが　この子を待ってるんだ
　　助けてくれるだろう？・・・アンテロス

＜つづき＞

天使は優美な眉をひそめて　ハトを見た
お前が我が名を呼ぶのは　こんな時だけだ
愛の神の名が泣くぞ　・・・エロス
ハトはふわりと笑って　天使に言った
僕がお前の名を呼ばないわけは　知ってるだろ？

天使は胸をつかれたように　目を見開いた
・・・ああ知っている　と天使は目を伏せた
お前は知っているからだ・・・
私が我が名を　嫌っているのを
ハトは雪の中黙って　天使を見つめた

私はお前と双子の神として　生まれ
だが　真に求められたのはお前だけ
我が名はお前の名から　生まれ
私を模した像すら　お前の名で呼ばれる
天使の光は燃え　ゆらめいた

お前は性愛を　私は慈愛を
お前は求め　私は与える
それが　天の与えた我らの役目
しかし　人間が愛するのはお前の方なのだ
天使は苦しげに　言葉を止めた

そして　お前は矢を失った
ハトが静かに　口をつぐんだ天使に言った
ああそうだ私の友愛の矢　と天使はつぶやいた
天から授かった　神たる私の唯一の証し
先の大戦で　人間たちが取り上げた・・・

天使はふいに　ネズミを見た
時間がない　この小動物を救わねば
やめろ　とハトは鋭く言った
取り繕うのはやめろ　アンテロス
それでは誰をも　救えないぞ

＜つづく＞


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