新630○○『自然と人間の歴史・日本篇』日本の領土問題(ロシアとの北方4島、同経済協力を巡って(2016~、韓国との竹島、中国との尖閣)
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ここでの話のそもそもは、第二次世界大戦の終盤からその戦後処理にかけて、顕在化した。その後、サンフランシスコ講話条約のおり、日本側は2島返還の主張であったのだが、その会議にはソ連が参加していなかった。そのため、合意は不成立であった。日本は、その後に4島一括返還要求に転じ、双方合意のないままに現在にいたっているのは、別項で述べておいた。
「日ソ共同宣言」の後、すべからく、この領土問題の解決に向けた両国の足取りについては、遅々として進んでこなかった。それが、2016年12月になって、ロシアのプーチン大統領が来日しての日ロ首脳会談で、日ソ経済協力の活動(共同経済活動)に向けて協議することで合意した。それまでの交渉の仕切り直し、もしくは新たな目標設定ということであろうか、新たな出発だといえよう。
ところが、2017年に入ってはやくも今後の見通しに修正を迫る動きが出できている。いずれも、ロシア発のもので、次のような動きである。
2017年2月22日、ロシアのショイグ国防相が、わが国の呼称でいう北方4島と千島列島に、2017年中にロシア軍を配置する新しい師団をもうける考えを、ロシア下院での報告で発表した。また、ロシアのプーチン大統領は2017年6月1日、わが国の呼称でいう北方4島につき、「日本の主権下に入れば、これらの島に米軍の基地置かれる可能性がある」などと述べ、日米安保条約が適用される現状では日本への返還(条約でいうと2島となる)は難しいとの認識を示した。
この背景には、2017年に入り、日本の政府(自民と公明の連立)が安全保障問題でアメリカに盲従を強めている中で、ロシアが危惧を抱いていることがあろう。ロシアが、自国の安全保障にとってこの島々を確保しておくことが有益だと考えるのは、現在の世界の政治・軍事バランスの上では大方自然な流れでもあろう。それから2017年8月23日には、メドベージェフ首相が色丹島での水産加工業を対象に、ロシアの法律での経済特区(先行発展地域)を創設する決定に署名したと、現地ノーボス地通信などが伝えた。
こうなると、話は「ぎくしゃくしてくる」のが、これまでの歴史の常(つね)であって、せっかく定めた日ソ経済協力においても、ロシア領土、ロシアの法律の影響下の前提に立っての協力を求めるロシアに対して、それを望まない日本との間で引っ張り合いが強まる、そのことで全体がうまく行かなくなっていく可能性があるだろう。
それでは、経済協力の項目としてはどのようなものが考えられるだろうか。これについて、双方にとって利益が見込め、将来性のある道が示されるべきであろう。その一つに、LNG(液化天然ガス)の共同開発・輸入が考えられるのではないか。LNGは、マイナス摂氏162度で液体(体積は約600分の1)になり、船に積んで日本に運べる。
おりしも、2017年1月6日、東京電力ホールディングス子会社の東電フュエル&パワーと中部電力sの共同出資会社「JERA(ジェラ)」が、米国産シェールガス由来のLNG(液化天然ガス)を国内で初めて輸入した。積載船が同日、中電上越火力発電所(新潟県上越市)に到着した。
2015年度のLNGの国別輸入比率は豪州(22.9%)が最多で、マレーシア(18.7%)、カタール(15.8%)、ロシア(8.5%)(財務省の貿易統計)。アメリカの東海岸ないし南海岸からの輸入ルートで考えれば、先頃拡張されたパナマ運河を通って大平洋に出る輸送ルートがコスト安の要因となっている。一方、ロシアからLNGを調達する場合は、今のところ船だが、ロシアとはパイプラインで繋がりうる。そういう意味では、ロシアLNG、米国産LNGを調達する動きは加速していく可能性を秘めているのではないか。
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韓国との間では、竹島が領土問題となっていて、現在ここを占有しているのは、韓国側である。
こちらについては、まずは歴史学の中にも、優れた研究業績なり、提言なりが提出されていて、かなりの程度、これからの道案内人になってくれるのではないだろうか。
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ところが、あれから約50年を経た今日、このことを認めない議論が日本の政論に少なからず見受けられるものの、そう言うのなら、中国側になぜあのとき、その問題を明確に日本側に示し、要求しなかったのかと聞いてみるべきだろう。なぜなら、あのときの日本も、かかる問題をあえて交渉の場に持ち出さなかった。そして、もし両者があの時激突していたなら、日中国交は暗礁に乗り上げていたのかもしれないと考えるのだが、いかがであろうか。
(続く)
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