8/28~31日、仕事の下見で北ア/読売新道(よみうりしんどう)を訪れました。富山県富山市。
読売新道は、北アルプス最深部の水晶岳(すいしょうだけ・2986m)~赤牛岳(あかうしだけ・2864m)を経て北へ延び、黒部渓谷上流域を東西に分かつ、全長約11kmの長大な山稜。「新日本山岳誌(日本山岳会編著)」によると、1961年、読売新聞北陸支社が開設された際の記念事業の一環として同新聞社が整備。開通40周年に当たる2001年には富山の山岳ガイドの協力を得て改修され、現在に至っているとのこと。
近年登山者が急増し、垢抜けた感のある北アルプスですが、同新道を経て黒部ダムへと至るこのルートは、長くエスケープに乏しいだけでなく、岩場、ザレ場、ゴーロ帯、木の根が複雑に絡み合う樹林帯の登下降、崩壊地のトラバースに高度感のある梯子帯が連続し、経験豊かな登山者にのみ許されたエリア。人影も少なく、原始の趣を残す道でもあります。
今回の同行者は、雲取山ガイドや西岳の下見に参加してくれたSさん。北アルプス初見参ながら、クライミングを学びつつ、その後も奥多摩や八ヶ岳などで個人山行を重ね、体力・技術ともに充実。一般道としては日本アルプス屈指の上級コースを、確かな足取りで歩き切ってくれました。
■28日?/晴れのち曇り
(中央道・日野バス停7:05~京王バス~JR大糸線・信濃大町駅10:38/10:42~信州名鉄タクシー~)高瀬ダム11:15/11:40-裏銀座登山口12:02-烏帽子小屋15:42<泊>
初日の入山は、悩んだ挙句?長野県大町市にある高瀬ダム(標高1270m=国土地理院地形図より、以下同)から。気温25℃。
ブナ立尾根を登り、烏帽子小屋(えぼしごや・2520m)泊。15℃。
小屋の周辺に描かれた…?心配りと遊び心が嬉しい。(笑)
■29日?/晴れのち雨
烏帽子小屋4:35-野口五郎岳7:45-東沢乗越9:25/9:35-水晶小屋10:13/10:45-鷲羽岳往復-水晶小屋13:05<泊>
ヘッドランプを点けて、夜明け前に出発。10℃。
5:13 朝陽に染まる赤牛岳(左)。右奥は薬師岳(やくしだけ・2926m)。
野口五郎岳(のぐちごろうだけ・2924.3m)山頂。13℃。
東沢乗越(ひがしさわのっこし)越えは、足元に注意。
一度泊まってみたかった水晶小屋(すいしょうごや・2900m)。
本日は団体の予約が数件入っており、定員30名のこじんまりとした小屋は満員。ふとん二枚に3名計算でした。
小雨がパラつく中、鷲羽岳(わしばだけ・2924.2m=写真)を一人で往復。
高山はすっかり秋の気配ですが…
春の花!?タカネスミレ(高嶺菫/スミレ科)が一輪。
■30日?/曇りのち晴れ、のち雨
水晶小屋4:00-水晶岳4:40/4:50-赤牛岳7:40/7:55-奥黒部ヒュッテ11:40/12:02-平ノ渡・針ノ木谷渡船場13:45/14:20~渡船しらとり~平ノ渡・平の小屋渡船場14:27-平の小屋14:33<泊>
核心部の読売新道を抜けるこの日は、3:00起床4:00出発。
ヘッドランプの灯りを頼りに、まず水晶岳山頂へ。10℃。
5:31 赤牛岳への道で迎えた日の出。
朝露に濡れたチングルマ(稚児車/バラ科)の果穂が美しい。
水晶岳(右)を振り返る。
別名・黒岳。黒部川源流域の最高峰にして、飛騨山脈の最奥部に位置する山。南(左奥)に槍ヶ岳(やりがたけ・3180m)を従え、「北アルプスの至宝にふさわしい」(同山岳誌)存在感。
前方には…
続く読売新道と…
赤牛岳。「山色が赤く、牛が足を踏ん張った山容」(同)が大きい。
ブロッケン現象に二度遭遇。
赤牛岳山頂。西隣りに…
北アルプス最大の山容を誇る薬師岳。赤牛岳から眺めると、南北に頂稜を伸ばすこの山のスケールを、余すところなく実感できます。とにかく、でかい。
2578m標高点を通過。
目指す黒部湖(真ん中やや右)を初めて望む。先はまだ長い…。
たわわに実ったクロマメノキ(黒豆の木/ツツジ科)の果実が、ひと時の癒し。
「アサマブドウ」と呼ばれるだけあって、口に含むと甘酸っぱい果汁が乾いた喉を潤してくれます。
こちらは、標高2300m付近で始まっていたコバイケイソウ(小梅蕙草/ユリ科)の黄葉。
標高を下げて樹林帯に入ると…
胸高直径2mはあろうかというクロベ(黒檜/ヒノキ科)に度肝を抜かれました。
あちらこちらの山を歩いていますが、これほどの巨樹群を見たことがありません。日本特産種。別名ネズコ。
時にアクロバチックな動きを強いられながら、高度をグングン下げ…
奥黒部ヒュッテ(1500m)着。
長い読売新道をクリアして、豊富に湧き出る黒部の冷たい水でひと息。
しかし…
東沢谷(ひがしさわだに)を渡ると…
急斜面に架けられた梯子と桟橋、谷側が切れ落ちた歩道…の連続。
この登り返しが、体力的に一番応えました。(苦笑)
水晶岳から黒部ダムへと続くこの道は適度な緊張感と変化に富んでおり、楽しませてもらいました。しかし、一般登山道しか経験のない人にとっては、少し厳しいかもしれません。スパッと切れ落ちた高度感、晴れて条件が良い時ならまだしも、天候が悪化し梯子や歩道が濡れると厄介です。体力的にも技術的にも、「ゆとり」をもって目指してほしいものです。
平ノ渡(たいらのわたし)で、平(たいら)の小屋ご主人・佐伯覚憲(さえきさとのり)氏が操縦する「しらとり」号のお迎えを受け…
平の小屋(1475m)着。
小屋で寛いでいた16:00過ぎころから雷を伴った激しい雨になり、「早立ち早着き」の大切さを実感。
本日の宿泊者は私たちを含めて4名のみ。ご主人の佐伯氏から、同小屋建築の裏話や黒部のイワナのこと、遭難救助ほか貴重な話を伺い、有意義なひと時を過ごすことができました。感謝。
■31日?/曇り時々晴れ
平の小屋5:30-中ノ谷5:55-御山谷7:55-ロッジくろよん8:27-黒部ダム9:00(~トロリーバス~扇沢~路線バス~大町温泉郷~JR信濃大町駅~JR大糸線・中央本線~自宅)
朝、雨上がりの黒部湖。
昨日と同じような、梯子混じりの道をひたすら歩きました。
標高1500m前後にある湖周辺は…
ブナ(橅/ブナ科)の森林(もり)が見事。
黒部ダムへゴールし、来し方を振り返ると…
黒部湖のはるか南に、辿ってきた赤牛岳(真ん中奥)を確認することができました。
最新の画像[もっと見る]
- 収穫! 2週間前
- 収穫! 2週間前
- 収穫! 2週間前
- 収穫! 2週間前
- 収穫! 2週間前
- 2024秋山+プラス 2週間前
- 2024秋山+プラス 2週間前
- 2024秋山+プラス 2週間前
- 2024秋山+プラス 2週間前
- 2024秋山+プラス 2週間前
他の場所でも多かれ少なかれいろいろあるので…。
覚えてるか分かりませんが、私が行った鳳凰三山の下山の時もある意味それに値するかも。
ツアーだから運命共同体だけど。でも、みんな無事に下山することが1番だと私は思います。
行きたい気持ちも凄く理解できるけど…。
現在の登山者は、山岳会などの組織できちんと学んでいない人が多いため、自分の力量すら客観的に把握できていない人が多いです。特にツアーの場合、「お金を払えば連れて行ってもらえる」感覚。自分の足で歩き、登るのは自分自身。「最上級」ルートに入るには、それ相応の努力をして、“ゆとり”を持って臨まないと危険なことを知っておいてくださいね。
ダメなら諦めるけど…。無理には行きません。
行程が短ければ今は問題なく登山できると思ってますが…。
鳳凰三山での出来事がトラウマで怖かったので、そう自分がならないために。
参加してきた人に関しては運命共同体だと思ってるので登頂したいけど、その時は下山に反対しないと思います。
大丈夫かな?この人とは思うときあるけど、なんで来たの?とは言いません。
膝に力が入らない、腰に力が入らない、くずれるように転ぶってこういうことなんだって目の前で見てしまったので、自分がそうならないように。