ジェラシック・ワールドを見てからnetflixで次々と恐竜ものを見ている。人類がこの宇宙に現れたのは宇宙カレンダー(138億年を一年に例えるカレンダー)では大晦日の午後11時で、この宇宙カレンダーは人類がこの宇宙で極めて偶然に現れた稀有の新参者であることを端的に訴えかける。
恐竜だけではなく、哺乳類も弱肉強食の世界で、これすべて人の価値観からすると「畜生の行い」であり悪に分類しても良さそうだ . . . 本文を読む
何故若者がこの男に帰依したのか。すでに十分知られている神秘体験のテクニックを利用したのだということがわかる。神秘体験のテクニックとは呼吸法、強烈な光の体験、瞑想、LSDなどの薬物でこの4種類を組み合わせて使うことで、本来オームの信仰とはなんの関係もない体験が間違った帰依へと直結する。
どうも人類は昔からこの神秘に弱い脳のソフトを持っているらしい。このテクニックは今後も年月を置いて度々悪用される可 . . . 本文を読む
2018-06-29初稿20230423追記
ドストエフスキーは人生でトラブルを繰り返し、その体験をベースにしてエピソードを紬ぎ作品化している。根源的体験とは癲癇や推測される幼児体験、父が殺された事件、空想的社会主義に共感した体験で、「カラマゾフの兄弟」をドストエフスキーの人生の投影として読んで見た。(ネットでさまざまな知識やドストエフスキー作品引用を参考にさせていただいた。元になる文献の確認は . . . 本文を読む
立川武蔵は「空の思想史」の中で、富の蓄積を是とする背景にヒューマニズムという語があることを指摘する。これはプロテスタントが富の蓄積を是とする背景になっていることと結果として同じことを述べているのだが、その思考経路はおそらく異なるのだろう。
それはさて置き、このヒューマニズムという言葉に我々は無条件にポジティブな意味を与えている。あの人は温かい人だというときにヒューマンな人だと言ってみたり、それは . . . 本文を読む
ドストエフスキーはそれまでの各人の物語を集約して見せるのに最適の舞台として裁判を描き、検事イッポリートと弁護士フチュコーイッチの両サイドを中心に登場人物のそれぞれからみた多面的な兄弟の真実をあぶり出す。一人の見ただけの真実などあり得ないとでも言うように。ここで芥川龍之介の作品である藪の中を思い浮かべてしまう。あるいはこの裁判シーンの影響を受けている可能性はある。黒沢監督も大のドストエフスキー好きで . . . 本文を読む
2012-03-30初稿
2016/11/27追記
2018/4/11 加筆
小説には物語性が重要だと村上春樹は「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」で述べている。すでにある説話的物語ととるのか、あるいはあらたな物語性の獲得ととるのか、それは「あらたな物語性の発見」であるに違いない。そんな興味に魅かれて検索をしてみたところ、次のブログを見つけた。
下記の蓮實重彦の『小 . . . 本文を読む
ドミトリーとギャツビーとの対応
駆け落ち IQ84
アリョーシャとカフカ君の母への憧憬
イワンとカフカの父殺し
「『カラマーゾフの兄弟』を読んだことは?」と私は訊いた。
「あるわ。ずっと昔に一度だけだけど」
「もう一度読むといいよ。あの本にはいろんなことが書いてある。小説の終りの方でアリョーシャがコーリャ・クラソートキンという若い学生にこう言うんだ。ねえコーリャ、君は将 . . . 本文を読む
冤罪の執拗な下ごしらえ
作者ドストエフスキーはドミトリーの裁判と冤罪に至る過程をかなりのボリュームを費やして描いている。しかもフィナーレの直前に書きこまれている。作者はこの冤罪を何故そんなに紙数を費やして描きたかったのだろうか。思うに裁判というのは人生の縮図であり、再現でもあるので、小説のまとめとしてお誂えなのではないか。
作者ドストエフスキーはドミトリーが疑われてもしかたがない状況を執拗に描 . . . 本文を読む
スティーヴン・ホーキングが2018年3月14日に亡くなった。偉大な天才の死生観はいったいどのようなものか興味がある。壊れたコンピュータはそこで終わりで、あの世の世界はないと言ったと伝えられるが、さて亡くなった今、いわゆる中有にいるのか、あるいは完全な無と化したのかこの世の誰もリアルな言葉を持って語ることは出来ない。
ドストエフスキーは「恐ろしい自然現象に対する恐怖の念」と表現しながらあの世の世界 . . . 本文を読む
既出の拙ブログ記事を読み返してみて、大地という原点に戻って形而上の価値を認識することが古今東西の英哲の共通項のようだと気がついた、つまりアニミズム回帰である。
「親鸞復興」吉本隆明」
「大拙は、考えが「大地」を離れない、あるいは心が地面を離れないということを、浄土教における<慈悲>を根本においているとおもいます。この「大地」はどこからくるのかということは、ぼくにはまったくわかりません。・・・で . . . 本文を読む
2018/2/9 加筆
スメルジャコフの父がグリゴーリーであるかもしれない、可能性は否定できないと書いたが、その後読み返してみてやはりその可能性はあるなと。さらにフョードルも父親である可能性があるのでスメルジャコフの母スメルジャチフは双方と関係していたのかもしれない。
スメルジャコフの不自然な自殺は謎だがあるいはこの事実と関係があり、書かれなかった第二部への伏線になっていたのかもと想像してみる . . . 本文を読む
Sさん あれは父殺しじゃありません。あれは別の人の血です。・・・ぼくは自分で思っているほど父親を憎んでいなかった。いや、父殺しは、作られた記憶、作られた感情だった可能性もある・・・・・・
いや、そうじゃない・・・ひょっとしてSさんは正しかったのかもしれない。だってそう、ぼくはこれまで三度、母親と交わる夢を見たことがある。 上p244 . . . 本文を読む
「みなさん、わたしたちはみな残酷です。悪党です。わたしたちはみなの者を、母親や乳飲み子を泣かせています。<・・・>その中でもわたしが一番、汚らわしい虫けらです。<・・・>今になって悟りました。自分のような人間には鞭が、運命の鞭が必要なのです。<・・・>わたしはあなたがたの譴責を、世間一般からの侮辱の苦痛を引き受けます。わたしは苦しみたいのです。苦しんで自分を清めたいのです」
「わたしは親父の . . . 本文を読む
ゾシマもし周囲の人々が敵意を持ち冷淡で、お前の言葉をきこうとしなかったら、彼らの前にひれ伏して、赦しを乞うがよい。なぜなら実際のところ、お前の言葉をきこうとしないのは、お前にも罪があるからである。相手がすっかり怒って話ができぬ場合でも、決して望みを棄てず、おのれを低くして黙々と仕えるがよい。
もしすべての人に見棄てられ、むりやり追い払われたなら、一人きりになったあと、大地にひれ伏し、大地に接吻し . . . 本文を読む
ドミトリー
長男ドミトリーは、冤罪のシベリア送りを原罪を償うためにという理由で納得する。この男の宗教観は、世界に不幸な子供達が存在する事が自らの罪と考える原罪意識をもつ男で、イワンと対照的に自分の罪として引き受けてしまう。長男、次男で全く異なるタイプに描かれるが実は彼ら兄弟の不幸の原因は両者ともに深層に漂う罪の意識なのだ。直情型で高潔の長男と知性型の次男は表出の仕方が異なるだけで根キリスト教 . . . 本文を読む