かつて50年ほど昔に三鷹台に住んでいたころ近所の一陽会所属の画家小川哲郎氏(童話作家小川未明の息子さん)と親しくしていた。
あるとき岡本太郎の絵が話題に出ると「狂人の絵ですよ」と言われたことが頭に残っていて関心を持たなかった。
昨日にやはり自分の眼でどう評価するかが大事だと美術館に行ってみた。
心の奥の奥を描いているというのが実感だった。心の奥の奥を描くと美醜を超えたものが見えてくる。
小川さんがあの頃アトリエで見せてくれた絵はそれは美しい桜を描いていた。こころの奥底に美を持っている人だった。
岡本太郎の絵はそういった美とは異なる。むしろ醜に限りなく近い美と言っていいかもしれない。でも確かに心の奥にはこの種の映像が控えていることもわかる。
どちらを好むかは評価の対象にあらず、好みの問題と言ってよさそうだ。他人の評価は参考になるが悪影響ももたらす。