まさおレポート

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いわゆる「愛読書」について

2008-10-25 | 小説 音楽

毎週、週刊新潮と週間文春はどちらか一冊を買う。若いときからそうだったが習慣になっている。買わない方は喫茶店かつり革広告あるいはぱらぱらと立ち読みで済ませる。今週は週刊新潮を買った。渡辺純一のコラムが目に入った。今週は愛読書がテーマだ。よく私の愛読書はxxとかが紹介されているが、渡辺 淳一はこの質問が苦手だそうだ。私も思い当るので興味を持って読んだ。

愛読書は人生のおりおりに何回も何回も読むもの。そして組めども尽きせぬ知恵を与えてくれるもの。古典ものが多いようだ。少し難しそうな本であることも重要な要素だ。ローマ帝国衰亡史、論語、孫子も兵法、葉隠れ、マクベス他シェークスピアなどが格好よさそうだ。そのため想定問答集のように自分に質問を課し、自分で一応の回答を作成する知識人も多いのだろう。なにせ、愛読書はときかれてすぐに応えられぬ様では知識人として格好が悪い。その流れで今でも入社面接などでもそんな質問をするケースもあるのかもしれない。

私もみずから振り返ってみて、愛読書はときかれて、ちょっと困ってしまう。何回も読んだ本といえば司馬遼太郎の「竜馬が行く」、「坂の上の雲」くらいか。いや、坂の上の雲も長編なのでそんなに読み返してはいない。せいぜい3回くらいではなかろうか。そのうえ、最近では読み返していない。折に触れてという感じではない。これからも、再読するだろうか。テレビの大河ドラマが始まるので読むかもしれないがおそらく部分読みだろう。

長く会社勤めをしてきた私は、こんなものだろうが、作家としてはもう少し座右の銘的な本を上げるかと思っていたが、拍子抜けだが、正直でよいともおもった。ちなみに川端康成は愛読書と聞かれて「川上宗薫」と応えたらしい。もう若い人には忘れられた著者だろうが、一世風靡のポルノ作家だった。吉田茂元首相は「銭形平次」でそのお孫さん=麻生首相は「ゴルゴ13」だ。

それなら私も負けてはいない。池波正太郎の剣客シリーズも鬼平シリーズもよく読んだ。ハリーポッターもよく読んだほうだろう。村上春樹の本も読んだほうだろう。開口健のオーパシリーズその他の著作も。しかし、今後も何回も読むかと聞かれるとちょっと困ってしまう。おそらく擦り切れるほど読むという本は今後もないのだろう。

しかし渡辺 淳一はこうも書いている。自分の本棚を見られることは自分の裸で見せるようで絶対にいやだといった意味のことも。となると、この人も一応の読書家でかなりの愛読書があるのだが、含羞の風で愛読書などないとしたのかもしれない。それに乗せられて同じだと思っている読者をからかっているという仕掛けもありえる。作家という人種はなかなか食えない代物だろうから。










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