まさおレポート

バリの海岸舗道風景 田中一村が想起

ハントゥア通りから海岸舗道の入り口に入ろうとすると既に結構な長さの行列ができている。女性はイスラム風のスカーフをしているので恐らくジャワ島から来ているだろうと思われる。若者の一団、見た目には高校生、が幅2メートルほどの狭い舗道をゆっくりと歩く。男性は右手に火のついた煙草を持ってぶらぶらとさせて歩く。自転車で娘をプレスクールに送り届けるために通り抜けようとするのだが、身動きがならないくらい混んでいてなかなか進まない。火のついた煙草も混雑したところでは気になるが、高校生の煙草も誰もとがめだてしないようだ。今日はパブリックホリデイだと気がついた。

10メートルほど自転車を手で押してようやく通り抜けて快適に走りだすと、珊瑚礁の線に沿って白い大きな波が立っている。サーファーが喜びそうな形のきれいな波が崩れることなく延々と続く。しかし実際にはどこにもサーファーが見当たらない。まだ時間が早いせいかもしれない。先ほどの混雑のストレスは飛んでいき気持ちの良いサイクリングが始まる。

右手のホテル沿いの生垣には白い優雅な花が咲き、観光客の女性が熱心にカメラを向けている。私もこの花は大好きで、カメラに収めたが名前を知らない。どこかで見た記憶があると思いを巡らせると、田中一村の作品にこの花が登場する。榕樹を真ん中に据えて右手にこの花が咲き、左手に鳥がとまっているあの絵だ。榕樹もこの花もバリにあるが、光の加減か、あるいは田中一村の心象風景なのか、この絵のようには見えてこない。(後で花に詳しい人に聞くとスパイダーリリーだという。なるほどうまいネーミングだ。 中央に白い朝顔に似たラッパ状の花(副花冠)と、6本の蜘蛛の足状に出た細長い花被片(六弁花)、橙色の雄シベを持つヒガンバナ科ヒメノカリス属の半耐寒性球根植物)

プレスクールに到着して娘を置いて帰ろうとすると、今まで一度も泣いたことがないのに今日は珍しく泣き顔をしている。ひょっとしたらあまりの混雑ぶりに怯えたのかもしれないが、よくわからない。

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