まさおレポート

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バリの風景 色彩の記憶

2016-03-08 | バリ島 街の風景・海辺の風景・山の風景

ピンク色の光る石 2009-08-25

いつもの朝の散歩でドラム職人イスファンの所に顔を出すと、ポケットからなにやら指輪を取り出した。インド人やインドネシア人の男性が指にはめるゴツイものだ。ブラウンオリーブの色調を帯びている。数日前に「石を見せる」といっていたが、これがその石だという。何の変哲もない一向魅力を感じない石だなあと心中思っているとイスファンはその石を太陽光線に当て始めた。10秒ほどのちその石を手の平で囲って暗くして両手の親指の隙間からのぞけと言う。のぞくと平凡な石が美しいピンク色の光を放っている。これは美しい!こんな蛍光を発する石は始めてお目にかかった。

この指輪の原石は彼の家族の誰かがボルネオから持ち帰ったものだという。それを砕いて研磨して少しずつ指輪やネックレスにしているのだという。

ネットで調べてみると昔からボローニャ蛍石などで有名なものらしい。紫外線ルミネセンス効果で蛍光を発するのだという。昔はこの蛍石からカメラレンズを作りだしたという。現代でも超高級望遠レンズはこの石を磨いて作るという。色収差の少ないレンズができ、望遠でも美しいカラーがとれるという。さてこれで指輪かネックレスとかを作ってもらうべきか。

花びら January 31, 2010

バリの玄武岩は色調のベース 2011-02-18

海岸舗道を自転車で走ると、砂浜でバリ特有の黒い石を積み上げていた。この黒い石はバリではおなじみの玄武岩でお寺やプールの周り、それに割れ門や住居にと至る所に使われている。バリだけではない、ジャワ島でもボルブドール寺院遺跡(仏教)やブランバナン寺院遺跡(ヒンドゥ)もこの玄武岩を積み上げて建てられている。そういえばバリの北部にあるシンガラジャの海岸の黒砂もこの玄武岩が砕かれた砂でできているに違いない。バリはアグンやバトール山など火山が多いのでいきおいその溶岩でできる玄武岩が豊富だ。

バリの風景はこの玄武岩石の色調である黒もしくは灰色をベースに成り立っているのではと思ってみた。つまり仮定してみた。この黒い地味な石はバリ全体の色調を規定しているに違いない。この黒や灰色に華やかな原色やパステルカラーは合わない。白の大理石がベースになっているパリやローマでは原色やパステルカラーが映える。一方、こちらの玄武岩には草木絞り染めのようなどことなく抑えたくすんだ色調がよくマッチする。バリの人々の服装を観察するとそんな色調を好むように見える。

ジャラン・バイパスをその気になって観察すると、黒の上着を着用してバイクに乗っている男性が多い。レストランでも黒の制服を着せて、白黒のサロンを巻き、頭に金色系のウドゥンを巻いている店があった。バリの伝統的な藁系バッグももとは白っぽいのだが、鉄さびのようなものを縫ってわざとくすんだように見せる。しろっぽいままの方がヨーロッパ系はもとより、その影響を受ける日本にも受けると思うのだが、生成りの白のバッグは見たことがない。

生物の色調はどうか。いつも登場するビアワはまさに玄武岩の壁の迷彩色といってよい。今日も壁にへばりついたビアワを見かけたが、完全に溶けこんでいた。蝶も南米のものに比べて茶系や黒に白の斑点など地味な色調が多い。鳥も南国の極楽鳥のような鮮やかな色彩の鳥にはお目にかかれない。派手な鳥と言えばバリ西部に生息する真っ白なジャラックバリ、これなぞまさにバリ人のこのむ色調と一致する。

これが一旦お祭りとなると特に男性は輝くような白や金銀を多用するが、女性もケバヤ(バリの女性の正装)の生地の色調は、白が多数派だ。しかし色物を身にまとう女性も多い。特に若い女性は色物を待とうが、やはりどこかくすみ系で少しシックだ。そしてスパングルやビーズあるいは金色でキラキラ系にして飾る。

屋上から見た色調 2011-02-23 
 
屋上に上り最初に目につくのは朱の瓦と淡い青でアクセントをつけた10階建のバリ・グランド・ビーチホテルで、これはサヌールのみならず、バリでも一際高い建築物だそうだ。このホテルは1993年に一度電気回路のショートが原因で火災にあったが、一部屋だけが焼けずに残ったという、大火災にもかかわらず幸い死者が出なかったということと合わせて不思議なヒンドゥ神の恩寵ととらえられている。

これだけ高い建物はスカルノ全盛時代の1966年に日本の戦後賠償金をもとに例外的に高層に建てられたもので、彼の当時の権力の大きさを思い起こすよすがになる。バリではヤシの木以上の高さの建築は美観上禁止されていると多くの人々から聞いたことがあるが、真偽のほどは確かめたことは無い。これだけの高層ビルは以降建てられていないということからして真実なのだろう。この焼け残った一部屋とは327号室で、スカルノが宿泊した部屋で、今でも火災時のまま煤ぼけた部屋に祭壇が置かれているという。この屋上からの目線では6階あたりが同じ高さに見える。してみるとこの屋上は海抜20メートル近くあるということになる。

四角錐の形をしたものが多いが、錆びた朱色の瓦屋根が樹木の緑とマッチしてなかなか素敵な風景を見せてくれる。錆びた朱色だけからの連想では、ローマやボローニャで高みから見た風景に似ていなくもない。ローマやボローニャはもっと密集しているが、バリは緑の方が圧倒的に多い。なぜか朱色の屋根の一つに洗濯物が干してある。Tシャツや子供のパンツなどが屋根を覆うほどに干してあるが、どうしてこんな場所に干したものか、この屋根も結構高いので屋根の上を危険を承知で干して歩いたとしか思えないが、見るたびに不思議がっている。

ところどころに一際背の高い巨木が視界に入り、それからヤシの木の手のひらを広げた形が目に入り、さらに少し下にマングローブの背の高いものが目につく。このマングローブはところどころに茶色い葉をつけている。常緑と落葉の双方の性格をあわせ持つのかもしれない。

数キロかなたに一際巨大な藁屋根の建築物が見える。屋根からは向こう側がところどころ透けて見えるのは工事が数年前に途中で仕掛のまま置かれたので、風雨で剥がれ落ちたのだろう。完成後であればここまで剥げ落ちることはない。

樹木の間から湾の穏やかな海面が見える。今日は薄曇りでアグン山は見えない。銀色の海面も潮目が帯状に張っているが静まっており、風がないので木々もそよがない。ツバメが海面を背景に盛んに飛び交って動きをそえている。

目を左右に転じると、落ち葉を焼いているのか、白い煙がゆっくりと上空に立ち上ってくる。微かにエンジン音や工事現場の槌音が聞こえるが、風景が静かなので印象は静寂だ。その静寂を飛行機の爆音と犬の吠える声がときおり破る。
 
原色 赤青黄
 
 
ピンク アメッドの早朝風景
 
 
黄金色の夕焼け
 
 
 
紫の夕暮れ 
 
 シルバー June 23, 2013
 
 
 
 
 
 

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