道徳も倫理もない無法者の言葉、自分の子供がこんなふうには絶対になってほしくない。しかし、しかしこのセリフは不思議と心に残る。なぜだろう。
「オレたちにとって、他の生き方は狂気の沙汰だった。クソみたいな給料のためにクソみたいな仕事をして、毎月の請求を心配しながら、毎日地下鉄に乗って通勤するいわゆる善良な人々はマジで死んでるも同然だよ。クソだね。彼らには根性がない。オレたちは欲しいものがあれば、手に入れる。マジだぜ。文句を言った人はボコボコにしてやった。そしたら二度と文句を言わなかったぜ」
「今ではすべてが違う。賭け事はないし、他の人と同じように行列に並んで待つ。良い飯も食えない。マリナラソースのスパゲッティを注文し、エッグヌードルとケチャップをつける。今やオレは平均的な、何者でもない男だ。このクソみたいな生活が死ぬまで続く」
「クソみたいな給料のためにクソみたいな仕事をして、毎月の請求を心配しながら、毎日地下鉄に乗って通勤するいわゆる善良な人々はマジで死んでるも同然だよ。クソだね。」この言葉がきっと倫理と道徳で押さえつけて脳の奥深くに本人も気が付かないで押さえ込まれており、気がついてさえいないが人々の本音であり、潜在願望なんだろうな。
合理的に自らを解放する人は成功者と呼ばれる。しかし中にはグッドフェローズつまりマフィアや極道にしかなれない不運な人々もいつの世にも存在するのだろうな。
表立っては決していえないセリフをタランティーノが映画で語らせ、願望のガス抜きをする。これも立派な映画の効用だろう。