追記
わては高知の侠客鬼龍院政五郎の 鬼政の娘じゃき なめたら なめたらいかんぜよ
夏目雅子出演の映画「鬼龍院花子の生涯」を30代のころ池袋の映画館で見た。そして仲代演じる鬼政が修羅場ではく「人間一生2万日、どうせ死にに来た世よ。なんちゃ怖いことはないきにゃ」というセリフを覚えていた。思い出すたびに背筋がゾクッとくる名台詞だ。
2万日というと50歳位か。信長の舞う敦盛のセリフ「人間50年 下天のうちをくらぶれば 夢幻のごとくなり」と共通した死生観をほんの少し前の人々は共有していたのだろう。国勢調査のない時代だが周りの人々の平均寿命を肌で感じてのことだ。
時代は下り今や平均寿命は80歳近い。それでも「人間一生3万日」と切りの良いセリフはいえない。今なら「人間一生2万5千日」か、あまり良い口舌ではないな。先のセリフに置き換えてみてもリズムがよくない。見栄を切る場面には使えないね。
改めて人間の寿命を日数で言われてみるとその数のあまりの少なさに驚く。年と日では長さを感じる脳の部位が異なるのではないかと思ってしまう。そういえば山田風太郎の著作にも「あと千回の晩飯」というのがあった。そう言われてみると一回一回の食事に対する思い入れや大切さが胸に迫ってくる。
毎日みている方のブログで年齢を日数でカウントしてまだまだだよと老人を励ます記事があった。日で勘定するとかなりな年月も瞬時に感じてしまう言葉の不思議さですね。
追記 2021/1/26
とっくに2万日は過ぎてますけど、この映画の場面を思い出します!