「2年縛り崩壊」9500円から1000円への案に戸惑いとのニュースを見て「これは総括原価方式的な発想だな」とピンとくるものがあった。菅官房長官は総務大臣経験者で料金許認可にも詳しいはずだ。最大で40%の値下げ幅目標といい、2年縛り9500円から1000円への案といい、総括原価方式的な発想で説明がつく。以下に総括原価方式的な計算根拠を推測して示してみよう。総務省は絶対に認めないと思う、あくまでも推測である。
総括原価方式では日本の代表的企業の利益率を標準に通信事業者の妥当な利益率を定める。筆者が従事していたころは概ね5%だったのでとりあえずこの値を採用する。
① ARPが4000から5000円とあるので中央値4500円を採用する。
②現在三社は20%の利益率なので4500*0.2=900円、総括原価方式的には4500*0.05=225円で675円が儲けすぎだと看做される。
③2年間では675*24=16200円が儲け過ぎだと看做される。
④途中解約する人の平均利用期間を1年として16200/2=8100円が儲け過ぎと看做される。
⑤途中解約する人にこの儲け過ぎと看做される8100円を還付すると解約金は9500-8100=1400円となり、平均利用期間を少し伸ばすとほぼ1000円に近づく。
⑥最大で40%の値下げ幅目標もARPの構成比がわからないので計算できないが総括原価的には利益率15%の値下げなので結果として20%から40%の値下げ幅目標は妥当ではないかと推測できる。
6/17(月) 6:01配信 ダイヤモンド・オンライン
● 唐突な「1000円」という金額の不可解
総務省によると、その根拠は5月27日から30日までの4日間にインターネット上で6000人を対象にしたアンケートによるものだという。「解約を検討している」と答えたユーザーの中で、1000円以上なら解約すると答えたユーザーが8割を超えたのが理由だというが、根拠としてはいかにも薄弱だ。
11日の有識者会議でも、こうした説明では「不十分」との批判を委員から突き付けられ、総務省は、次回の会合で改めて根拠を説明するよう求められた。いわば総務省は「出し直し」を命じられた格好だが、携帯業界からも突如として出てきた数値にプロセスの不透明さを指摘する声が強まってきた。
11日の前回会合にあたる5月30日の有識者会議では、KDDIとソフトバンクが違約金の水準としてユーザー当たりの月額収入(ARPU)を基準にすることを提案したばかり。ある通信大手幹部は「各社のARPU4000~5000円なので、その水準をベースに検討されるものと思っていたが、わずか1週間後に1000円の案が突如出てきたことに理解が追い付かない」と戸惑いの声をあげる。