日本電産、ユニクロ、ソフトバンクGいずれも後継者問題は非常に難しく、深い問題を含んでいます。
次の矛盾する事実に直面するからです。
俺がいないと誰がやる。これは経営者には絶対必要なマインドです。
どんなに偉大な経営者でも死ねば後は何にも変わらず続いていく。これも歴史の事実です。
これは個人の死生観にも同じことが言えます。次の矛盾を抱えている人が多いのではないか。
俺が、わたしが長生きしないと家族が困る。大概の高齢者などがそう考える。
どんなに愛され大事にされている者も死ねば後に残された家族や周りはそれなりに心の整理をして暮らしていく。
さあ、この一大矛盾をどう考えれば良いのだろう。
どんなに優れた人でも自らの判断力が衰えていくことを自ら知ることはできない。
アラン・チューリングが、あるシステム系が自らの系の矛盾を知ることができないと言ったことをなんだか想起させます。
死ねば後に残された家族や周りはそれなりに心の整理をして暮らしていく。生きていてくれればどんなに嬉しいか楽しいかと思うが、一方で死ぬべき時に死ねば周りが例えば老々介護の労苦から解き放たれて幸せになることも冷厳な事実と見受けられます。
しかしこれは誤解されると大変なことになる。あくまでも各人の自戒としてであり、人に向かって「死ぬべき時に死ねば周りも幸せになる」などとは口が裂けても言ってはならない事柄です。
事業経営も同じで、世間で老害が囁かれ出したら、自らはまだまだやれると考えがちだがその潮時だと悟り、余裕を持って引退するというのが美しい。社内外の人が偉大な経営者に向かっていう言葉では絶対にないだけに偉大な経営者が自ら悟るしかない。
だから経営者引退はいっそう難しい課題となります。