親の恩を返そうと思った時には大抵の場合は親はいない。だから周りの困っている人などに返せば良い。紀野一義は親にそう教えられたと言う。
今時こんな説教くさいことを言っても聞く人はいないのかもしれない。我が子に言ってもピンとこないだろうな。でもこういう思いの連鎖は時代が変わっても未来永劫伝わってほしいなと思う。
でも変わりを見渡してもそういう思いの連鎖はとうになくなっているケースもある。私の知り合いの女性は6歳で養子に出され、それ以来母親を好きになれないと85歳になった今でもいいつのる。拠ない事情があってのことだといえば言うほど頑なにとうの昔に亡くなった母親を嫌う。私は養子に出さざるを得なかった事情を彼女の母親から聞いているのでそう言う事態になった彼女の母親が不憫でならない。親子の間に蟠りを持ったまま亡くなったに違いない。
こんな人もいるので親の恩と言ってもさまざまな人がさまざまに受け取っている。恩の返し方も色々多様になっている。でも難しいことは考えずに身近な親切を心がけるしかないのかなと思う。
ところでサムネイルのタイタニック号とこの文は一体なんの関係があるのかと思われるかもしれない。紀野一義の講演でタイタニックの話が出てきてその流れの中で親の恩が出てきたということだけです。