まさおレポート

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アルガンオイルは第2のオリーブオイルたりえるか タルガニン生産共同組合

2007-08-13 | 紀行 モロッコ・チュニジア

モロッコでのアルガンオイル生産地の記憶をよみがえらせた。ウルルン滞在記の放映が今夜行なわれた。相田翔子がビジターでティウトの村を訪れそこでアルガンオイルの生産に従事する婦人と交わるという筋立てだ。

この村は去年の5月に訪れたことがある。周りのアルガンの木には黄色い実がたわわに実り収穫された実から堅い種を取り出しさらにその中から胚を石で和って取り出す。胚は梅干の種の中の仁によく似たものだ。これを焙煎してすりつぶし手で揉んでいると油が抽出される。

ごま油にナッツ風味を加えたような味と香りがしサラダやパンにつけて食べるとおいしい。この油はとれたてほど旨い。フェニキア人が食していたという記録があるらしく古代からの食用油だが何故かオリーブオイルほどポピュラーではない。

不思議な特性を備えた木で世界中でモロッコの南西部とカナリア諸島にしか生息しない。荒地で降水量が極端に少なくても成育し砂漠化を防ぐという。30メートルも地下に根を張り100メートル下の水脈から水を吸い上げる力があるという。

エッサビラに向かって車を走らせると広大な山にアルガンの木が80万ヘクタールにわたり植わっている。その実を黒ヤギが木に登って食べる姿は観光写真でおなじみになっている。それほど黒ヤギにとって実に魅力があるということか。

アルガンオイルの魅力はなにか。美味だということと油脂成分として優れている事がよく挙げられている。美味については私も何回も食し納得できる。新しければ一層旨い。

油脂成分としての優秀性はどうか。近年油脂の健康に対する考え方が一変している。かつて油脂は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、コレステロールに3分類され、不飽和脂肪酸さえとっていれば健康に良いという説が一般に信じられていた。しかしこのコレステロール悪者説、不飽和脂肪酸無条件ウェルカム説は訂正されている。

特に不飽和脂肪酸善玉説はうそで、不飽和脂肪酸の中でn-3系は良くn-6系はとりすぎるとアレルギーやガンの原因になるという。この観点から植物油の良し悪しを判断しないと誤ることになる。健康になると考えての食物が病気の原因となるのだ。

その意味で、植物油の宣伝に不飽和脂肪酸が無条件に善玉として書いてあるのを今でもさかんに見かけるがそのような宣伝は信用できないということだ。n-3,n-9,n-6系分類が正しくn-6はとりすぎてはいけない。この観点からアルガンを見てみると、オリーブのほうに軍配が上がるがアルガンもかなり良い。n-9系とはオレイン酸が代表ででn-6系とはリノール酸などがある。

しかしトコフェロール類=ビタミンEの含有量が(700mg/kg)とオリーブオイルの約2~3倍含まれている。この点はオリーブよりはるかにすぐれており、両者を合わせた比較では優劣をつけられないといったところか。

今後アルガンオイルがかつて80年代にオリーブオイルが急速に欧米から日本に普及したようになるかは予断をゆるさない。オリーブオイルに比べて現時点では価格が高いということと生産地が限られているために大量供給体制が整っていないということが普及に不安を抱かせる点だ。しかし合理的な供給体制が整えば第2のオリーブオイルとなる可能性も秘めている。

その鍵はタルガニン生産共同組合の今後の方針と舵取りにあるといえよう。現地の女性の職を守ることにのみ力を注ぎ供給体制の合理的な方策を追求することを放棄するならば単なる珍しいオイルの存在にとどまるが両者のバランスのよい追求と成功を収めるならばモロッコにとって外資の獲得にかなりの貢献をするのではないかとの予感がする。
<参考>
http://dearmorocco.cocolog-nifty.com/marrakech/





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