追記
テスラは2010年NUMMI(New United Motor Manufacturing Inc.)の工場(在カリフォルニア州フレモント)を購入し大量のEV生産基盤を得た。テスラの完全自動運転車は現実の都市を自由に走り回っている。
以下は2009-08-28 18:19:12の記事
トヨタ自動車は28日、米ゼネラル・モーターズ(GM)との合弁工場「NUMMI」(米カリフォルニア州)での生産を2010年3月分で打ち切ると正式に発表した。6月に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請したGMはNUMMIでの合弁事業撤退を決定しており、トヨタも単独での生産の継続は困難と判断した。NUMMIの扱いについては今後、GM側と協議するが、閉鎖の方向で検討する。トヨタが大規模な海外工場から撤退するのは初めて。
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090828dde001020045000c.htmlによる記事引用
この記事を読んである感慨を得た。20年ほど以前に勤務していた日本高速通信(現KDDI)の当時の社長はトヨタ元専務の東款さんであったが、東さんはこの記事のNUMMI社長を終えて日本高速通信の社長に就任されていた。当初はNUMMIという聞き慣れない名前が何を意味するのかよくわからなかった。そのうちにNUMMI(ニューミとトヨタ出身者達は呼んでいた)がトヨタとGMのジョイントであり、GMがトヨタの効率を学ぶという図式で設立されたと聞かされた。
その後何かと折に触れてNUMMIという日本人には記憶しにくいニックネームを聞くことになる。そしてトヨタのカンバン方式に代表されるQC活動も導入された。このトヨタ方式QC活動は東社長以下相当の力を入れて日本高速通信に導入された。トヨタ本社からQC活動の専門家を招いてそのノウハウとシステムを取り入れることに何ヶ月もかけた。
既にNTT時代に「オレンジ活動」と称するQC活動も経験していたので特に目新しいことは無かった。日常の業務の中でともすれば埋没してしまう小さな効率改善を意識的に時間をとって行おうとする活動は共通のもので、方法も同様であった。NTTも日本高速通信会社も「ものつくり」の会社ではない。「もの作り」ではない現場での業務改善にはかけた費用と労力の割には役だったという印象はない。当時どの会社も数年かけて会社の費用も社員の時間もかけて鳴り物入りで行われていた。この運動は定着した為だろうかあるいは効果に疑問の為だろうか、最近はあまり聞かれない。
こうした縁があったのでNUMMIの撤退に人一倍興味をそそられたのだが、25年を経た今、ジョイントによる生産効率化の実は具体的にどのような形で実現したのだろうか。本当に生産効率化の仕組みがメンタリティーも含めたシステムとして根付いたのだろうか。私は日本車に代表される「ものつくり」の優秀さはメンタリティーによるところが相当大きいと考えている。しかしメンタリティーのみを強調しても実際にそれを導入することは難しい。そこで米国発の「QC活動」にすり替えられるが実際は違うのではないかと言うのが長年の疑問だ。
だれか敏腕のルポライターがNUMMIの撤退とこれまでの成果を書いてくれる事を期待しよう。