まさおレポート

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記憶の断片 とても変わった子供 松山君

2011-01-09 | 心の旅路・my life・詫間回想

松山君は比較的裕福な家の子供だった。父親は日本郵船の船長さんでいつも航海が多く、家でみかけることが滅多にない。母親は上品で優しそうな女性だった。彼が小学5年の時に転向してきて多分席が近いとかの理由で親しくなったらしい。はっきりとは覚えていない。彼の家には妹がいて犬がいて鶏が数羽飼われており、そのほか亀や虫などをたくさん飼っていた。つまり当時の私にはうらやましいほど穏やかな理想的な家庭に見えていた。彼の母親は子供の教育環境や友達にも目配りを怠らない。彼の母親がある日近所に来たついでと言って我が家を訪れてきたこともある。母親同士でなにやら話をして帰ったようだが、つまり友人の家の調査といったことだったのだろうか。

松山君には奇妙な性癖があった。自転車で一緒に遊んでいてなにかの拍子に角を曲がって双方の距離が離れ、見えなくなったりする。なかなか追いついてこないので角をもとに戻ってみると、はるかかなたに松山君が一目散で去っていく姿が見える。いまだに記憶にあるのは多分一回きりではなく何回もあってのことだろう。遊ぶのも飽きてきて家に帰ろうとするときは「じゃあ、僕そろそろ帰るね」とか言って帰るのが子供同士でも普通で、こうして突然逃げるようにして去っていく松山君の性癖に何か不可解なものを子供心に感じていた。

松山君は盗癖もあった。チュウインガムやチョコレートを盗むのだ。兄がたまたまそれを見つけた。普段仲良く付き合っておきながら、見ていないところで裏切る。なんだかその事に喜びを感じているような子供だった。理想的に見える家庭環境と奇妙な性癖は関係がないことを松山君を通じて知ったのはこの頃の事だ。

2日前、一年近く親しくしていた人から唐突にその人の人格を疑うような目にあった。そのショックがこの記憶を浮かび上がらせたものと見える。この二つの話は直接の類似性はないが、なにかが深いところでつながっている。だから松山君のかつての記憶の泡が遠い記憶から浮かび上がってきたものと見える。

 

 

 

 


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