「和尚とよばれた牧師」三浦光世師は、キリスト教のパブデスト派の牧師。著書「放蕩息子、家に帰る」より引用メモです。
ルカによる福音書15章11節の放蕩息子の話
ある人に息子が二人あった。弟は『お父さん、私に財産の分け前を下さい』といった。父は、身代を二人に分けてやった。弟は遠い国に旅立った。
放蕩して何もかも使い果たした後飢え死にしそうになった。父のもとに行った。父親は彼を見つけ口づけした。
「お父さん。私は天に対して罪を犯し、またあなたの前に罪を犯しました。もう私は、あなたの子と呼ばれる資格はありません」
父親は言った。「急いで一番良い着物を持ってきて、この子に着せなさい。手に指輪もはめさせ、足に靴をはかせなさい。そして肥えた子牛を引いて来て料理して食べようではないか。」
「法華経信解品第四」の「長者窮子」放蕩息子と、ルカによる福音書15章11節の放蕩息子の話はそっくりでどちらが先にできた話なのかという論争がある。
「新約聖書」「ルカの福音書」執筆年代は西紀61年以前。
「信解品」は西紀40年頃という中村元説がある。
(「法華経」上。岩波文庫。429~438頁)
中村説に立てば、両書ともに同時期に書かれたことになる。中村先生は、同時説の立場から、「慈悲が東と西とで、ほとんど同時に特に強調されるようになったのは興味深い符号である」と言っている。
「比較宗教から見た仏教」中村元著。東方出版。159頁)
おそらくルカは「法華経の長者窮子」の話を知っていたのではないか。