ここまで技術の高度化が進むとますます個人投資家は食い物にされる。なぜこのようなインチキ行為の対策を取らないのだろう、これでは映画スティングに描かれる競馬のインチキ賭博と同じではないか。小さな犯罪は取り締まるが巨大資本がここまで堂々とやると手が出せないということか。しかも呆れることには東証がコロケーションと称してエリア貸しを行い利潤を上げている点だ。筆者はかつて通信事業者がNTTのコロケーションを巡って激しく交渉した経験がありコロケーションが株式の世界にまで使われていることに驚いた。
東証の「コロケーションエリア」は東証の売買システムのすぐ隣に証券会社や投資家のサーバーを設置し、直接ケーブルでつなぐサービスで売買システムとサーバーとの物理的な距離を縮め、発注の速度を200分の1程度に高速化している。
利用料金は1カ月当たり70─80万円程度で証券会社は東証に料金を支払ってラックを借り、そこにサーバーを設置する。コロケーションエリアのラックはほとんど契約済みの盛況らしい。
コロケーションを利用しない一般の投資家が自宅のパソコンから発注した場合、注文は証券会社のサーバーから東京・池袋にある「アクセスポイント」と呼ばれる東証のネットワークへの入り口を経由した上で、売買システムに到着する。スティングのインチキそのものではないか。
さらにGPSの利用も大きな効果をあげているらしい。致命的損失を生むタイミングエラーを回避できるのもGPSのおかげだという。ますます個人には手の出せない世界になっているようだ。