かつてこのブログで次のように書いた。
アグリジェント遺跡近くの小さなホテルに泊まった。英語も全く通じないのでパソコンの翻訳機能を使い意を通じた。そのためフロントで時間をとられた。部屋に案内される廊下には小さめの額縁にムンク風の絵が欠けてある。
ホテルには遅くついたのですでに夕食の用意は終わったという。しかし腹が減っていたのでなにかあり合わせでいいから食べさせてくれとお願いするとレストランでサラダとハムを用意してくれた。向かいのテーブルにはさきほどのホテルのオーナーである60過ぎの男が座り、夜食だか夕食だか判然としないがデキャンタの赤ワインを置いて食事をとっている。赤ワインのデキャンタが置いてあるだけでそのテーブルは幸せな夕食の雰囲気を醸し出す。美味そうなパイまで食べているので眺めていると男が微笑んだ。パイを指さし、これでよかったら食うかとイタリア語で言っているらしい。パイと赤ワインを分けてもらい、ささやかながらなかなか素敵な夕食をとることができた。
遺跡の観光客以外はひなびた寒村と言ったほうがふさわしい村で、男は30近い娘と二人でホテルを切り盛りしながらなにやら創作を続けていた。
写真を追加してみる。データを見ると2006年5月20日とある、すでに13年か。
これがホテルのオーナーで当時60代。
オーナーのアトリエ 途上の作品が無造作に並ぶ。
人の顔がほのかに現れだした木。
仏像に見える。
木の形から得たインスピレーションをそのままにほりすすめるのだろう。きっと深層のイメージが浮かび上がるのだ。
キリストの顔を彫り出しているのかと当初は考えたがどうもそうではない。木の形に偶然ではなく必然を見ているのだろう。