バリでも男の手料理を作っていたし、日本でも作っている。キッチンさえ使えればどこの国にいても自分で作るほうがレストランで食べるよりも好みだ。バリは滞在したビラがキッチン付で、さらにスタッフが洗い物までしてくれるので大変助かった。もっとも、見よう見真似で必要に迫られてのものだから、そんなに手の込んだことは出来ないし、手の込んだものはあまり好きではない。
味噌汁 昆布をミネラルウォータでしたし、ほころんできたら沸騰寸前までいく。これに鰹の本枯れ節を削ってといいたいところだが、そんな暇も品物もバリにはない。昆布も沸騰寸前を目指すが、なにか用事を思い出し、戻ってきたら白い泡を吹いて沸騰寸前といった風だが、気にしない。これに、鰹節を厚目に削ったものを放り込む。後は味噌だけを溶いて沸かして完了です。これを出していたら、連れ合いが不満そうだ。
作家で食通の子母沢寛はこの何も具のない味噌汁を好んだというが、彼女には通じない。最近は、油揚げを入れることが多い。他に、豆腐やねぎ、なめこなどが常連だ。ビラ近くのビンタンスーパやパパイヤに行けば手に入る。値段は日本のスーパーくらいだ。
煮物 先ほどの出し汁に醤油を加えて、何でも煮る。ジャガイモ、トッフ、にんじん、玉ねぎなどなど。このトッフというのはバリで豆腐がなまったもので、日本で言う厚揚げのことだ。近所の屋台に夕方売りに来る。最初はすっぱいのが気になったが、いくら新しいのを買っても酸っぱい。酢でも入っているのだろう。これだけを出汁で煮ても旨い。
干物 ジンバランは漁港で、市場に夕方頃、漁を終えて船が戻ってくる。鯵や鰯、鯛、鰹を買って帰る。鯵は干物にして食べる。猫が大敵で、その日干し対策に頭を悩ます。今度行くときは、網を持っていかねば。あるいは鳥かごでもいいかな。
〆鯛 40センチはある鯛を買ったときは、一部を酢で〆て食べた。なかなか旨いがついつい大量に作りすぎ、冷凍する羽目に。冷凍はあまり旨くない。
海鮮スパゲティートマト風味 鯛のさくを常に冷凍しておく。オリーブ油でトウガラシとにんにくをいためてから、玉ねぎをよく炒め、さらにトマトも大きく切って炒める。その上にトマト缶を入れる。バリ塩を入れる。煮立ってきたら、解凍した鯛を放り込む。これをスパゲティーにぶっ掛けて出来上がりです。これは実によく食べました。ほとんど二日に一回のランチ定食。
ご飯 ビンタンスーパーで売っている米で電気炊飯器で調理して食べていたが、感動がない。なんとか食べれる程度。こんなに米の採れるバリなのに残念だった。原因は米の種類と炊飯器の性能の双方にある。米はやはり粘りがない。日本と同じ水稲なのに、種と土壌の問題か。炊飯器は現地の安物を買ってしまったのが失敗で、熱量が不足気味だ。
以上がバリの日常のレパートリーでした。
バリの包丁は鉈のようなものか、ぺらぺらのものかで、日本のようなものは探しても見つからない。魚をおろすときに最も困る点でありました。
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