2007年2月11日
アルゼンチンのカラファテからチリのプエルト・ナタレスまでやって来た。パイネ国立公園の足場として有名な町だ。バス停の前にいた素朴で人の良さそうな、少し太った大柄な客引きの女性について行くとNIKKOという名前の小さなホテルだった。日光を連想する名前だな、ひょっとしたら現地語だろうと思いながらチェックインした。
人口が2万人程度だと聞いた。道路は舗装されていないので埃っぽい。車が通るたびにもうもうと砂塵が舞い上がる。おまけに風がめっぽう強いので風向きの反対の方へ移動しないと視界が遮られる。南米大陸に来て以来初めてこの街で旨い生ビールを煮込みを食べながら飲んだ。こんな小さな町なのだがどういう事情なのかしらと思う。
ホテルNIKKOの朝飯はハムとチーズが豊富に出て来る。これまでのアルゼンチン・カラファテと大違いだ。お国柄なのだろう。朝食時に熟年のイギリス人カップルと同席して少し話をする。しっかり者の奥さんに物静かな夫で新婚旅行だとのことだ。デイビッドリーン監督の「眺めの良い部屋」を思い浮かべる。登場人物に似ているというわけでは無いが、二人のたたずまいがイギリス人だなと思わせる。
近くの湖に散歩に出かけると期待していた以上の風景が広がる。パイネの山々が迫り海岸には水鳥が多い。首だけが黒い白鳥も遊泳している。杭には無数の水鳥が羽を休めている。
夕方には観光客と地元の人々でにぎわうが、あくまで静かな雰囲気を保っている。長く逗留しても良さそうな街だ。
時刻とともに空が変わっていく。
とっぷりと暮れてきたのでホテルに帰ることに。この地は南半球のために夏なのだが夜は冷える。部屋にはストーブがあるのだが着火にコツがいる。夜中に冷えてきて着火に失敗したらどうしようと心配したが、杞憂に終わった。