まさおレポート

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メコンデルタ 籾で煉瓦 雄鶏 春巻

2007-11-10 | 紀行 シンガポール・マレーシア・カンボジア・タイ・ベトナム・中国・韓国

2005年4月2日


遠くチベット高原(標高5200m)から延々と4023kmもの長きにわたって流れるメコン川デルタの風景はモノトーンの世界で、360度マングローブの林に囲まれている。

貸し切りのボートでメコンを行く。川の流れは乾期のせいか極めて緩やかだ。お汁粉色の川をゆっくりと進んでいく。体と頭が川と空にとけ込んで行く。眠くなってくる程の穏やかな川の流れと時間の流れ。


うとうとしているとやや体を揺すられた感じがする。横を通る船のたてる波のせいだ。西瓜を満載した運搬船が青果市場に出かける。このあたりには市場があちこちに見られる。この船の中で生活をしているのだろう。洗濯物の横で進路を眺める女性。市場に着くと忙しいのだろうが今はのんびりと前方を見つめている。

メコンの周辺は世界有数の米の産地でわずか3ヶ月で稲が育つという。理論的には4毛作も可能だ。強い太陽と豊かな水、それに毎年雨期の氾濫で肥沃な土壌をデルタに運び込むせいだろう。

米の脱穀で籾殻が大量に出る。籾殻を船で運び煉瓦焼成の燃料にする。煉瓦工場に横付けされた籾殻運搬船から30センチほどの細い板の上を通り、天秤で大きな籾殻籠を担いで運び込む様は思わず息をのんでしまう熟練の技だ。

一度火を入れると数日籾殻を足しては焚き続ける。近くによると熱気がすごい。焼き物が好きなのでこうした火入れは見ていて飽きない。

煉瓦工場に突然現れた雄鶏。見事な艶のある羽と立派なたてがみ、特に蹴爪を見てほしい。これが雄鶏同士で戦うときの武器になる。これで首を切られると一瞬にして勝負が決まる。この鋭い目つきはおそらく闘鶏の猛者だろう。

メコン周辺は広大で土地はいくらでもある。運搬費用も安いのだろう。従って広い敷地を要する家内産業にとってはうってつけの場所だ。ここはお菓子や米粉で作る春巻きの皮を作っている。米粉の薄い汁を広い鉄板にかけると一瞬で半透明の皮ができあがる。それをはがして天日に干すと強い太陽で瞬く間にできあがり。

メコンの周りには人生のはじめから終わりまでに必要なものがそろっている。これは棺を作る工場。


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