まさおレポート

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孫正義氏の「まっかっか」「ボロボロ」と「株主価値増大」

2019-11-21 | 通信事業 孫正義

孫正義氏が「まっかっか」「ボロボロ」の表現で決算の悪さを表現したことがあちこちの評論で話題になっている。そのうち「まっかっか」「ボロボロ」がそのままで世界的に通用する言葉になるのではと思ってみたりする。かつて「もったいない」が国際的に認知されるようになったごとくに。

しかしこうした少し自虐的な言辞は孫正義氏の得意とする表現で、かつて20年前のADSL事業で5年間にわたり当時としては大きな赤字を出していたころも社内会議で「損しても正義」とジョークを飛ばし、また一時はバブルで資産がビルゲイツを抜き、その後100分の一に下がった株価推移を「みごとな正規分布」と笑いを取っていたときとなんら変わっていない。

次に「株主価値増大」という言葉で切り返していることに注目したい。7001億円の最終赤字 で孫氏は反省の言葉 「まっかっか」「ボロボロ」と同時に「株主価値増大」のキーワードで経営方針の変わっていないことと揺るぎのないことを述べたかったに違いない。「株主価値は1.4兆円増加」と 2019年3月の決算説明会でのビデオを見せ以前から株主価値を重視すると説明していたことを示した。

これも 2019年3月の決算説明会をみるまでもなく昔からだ。1997年に開催された情報通信21世紀ビジョン研究会で孫正義氏が当時「まっかっか」のアマゾンを強く批判する慶應大学ビジネススクールの教授に対し敢然と反論しアマゾンをを擁護していた場に居合わせた。そのときの反論の根拠が「株主価値増大」であった。つまり20年前からの筋金入りの「株主価値増大」論者なのだ。

WeWorkの投資判断に「惚れこみすぎた」「市場を欺いていない。信じてしまったのだ」と反省しているがこれも孫正義氏の顕著な特質であり、この稀有な特質があったからこそここまで来たのだということを考えると稀有な美点は大きな欠点にもなるという平凡な事実を改めて思い知らされる。  

つまりこの不世出の経営者は美点とその裏返しの欠点でここまで来たのであり、その出発点から今までの勝率はただものではない。

適切な批判は大切だし批評家の義務だと思うが一方で孫正義氏の経営手法は昔からよく言えば大きな志、悪く言う人は大風呂敷で博打的だと評されるが安定した経営だという人は誰もいない。そのうえで上記の美点と欠点で成り立っている経営手法なのだから細野祐二氏が「ソフトバンク」破綻への道と週刊新潮に書き立てるのはどうもあまりいい気がしない。

細野祐二氏が国際会計基準は時価を正義とし、日本の会計基準は取得原価を正義、金融工学的時価や作文を認めないのが日本の基準だと断言するのは自由だが孫正義氏が会計基準に乗っ取りながら反省して見せ、かつ彼が陳腐だと思う価値観を全く歯牙にもかけないのも全く自由なのだ。「株主価値増大」を批判するのは言論の自由だがやや感情的な批判は風評被害をもたらすすれすれの感がありいただけない。


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